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「ワシがそんな話に乗ると思うかい?」
「ほう、従わぬなら、ここで死んでもらうぞ。我を神と同じと思うな!」
「お生憎様。ワシもそんな簡単には死にませんからね!」
おばあさんが誘いを断った事で、一瞬の内に険悪な雰囲気が玉座の間を満たします。魔王は早速自慢の極大魔法をおばあさんに打ち込みました。質量を持った闇がおばあさんを襲います。
「この程度かい。魔王も大した事ないねぇ」
その闇をおばさんはチェーンソーで軽々と切り裂きました。この展開を予想していなかった魔王は、分かりやすく動揺します。
「ば、馬鹿な……」
「それじゃ、今度はこっちから行くよっ!」
「ヒィィィッ!」
魔王は変身を3つ残していましたが、それらを披露する前にチェーンソーによって一瞬でバラバラにされてしまいます。本気を出し切る前に、魔王はおばあさんによって呆気なく倒されたのでした。
「魔王と言ってもこの程度かい。大した事ないねぇ」
「おお、お見事お見事。流石だねぇ」
「悪魔さん?」
「そんなばあさんにいい話がある。乗らないか?」
魔王との戦いが終わった後、いきなり悪魔は現れました。自分の主君を倒されたと言うのに、悪魔はそれを当然のように受け入れています。おばさんはそれが不思議でなりませんでした。
「お前さん、ワシはお前さんの主君を倒したんじゃが……」
「ああ、いいっていいって。魔族は強いものが正義。俺はばあさんに従うぜ」
「そんなものなのかのう」
「で、この城で最強になったばあさんに話があるんだ……」
悪魔の話によると、この魔界はいくつかの国があって、それぞれがいがみ合いをしているせいで争いが絶えず、国民の多くはとても貧しくて大変住みにくいのだとか。
「ばあさんの力なら魔界を統一出来ると思うんだ。どうだろう?」
「仕方ないねぇ。ここまで来たらやってやるよ」
話を聞いたおばあさんは哀れに思い、魔界統一に乗り出します。最初はうまくいきませんでしたが、小さな戦いに勝利するようになって仲間も増え、いつの間にやら連戦連勝。気がつけば魔界はおばさんによって見事に統一。
こうして、魔界はその名に反してとても平和な世界になったのでした。
魔界を統一したおばあさんはそのまま初代魔界皇帝となり、伝説はいつまでも語り継がれましたとさ。
(おしまい)
魔界統一エンド ED25
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894419987
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