第46話

 そのむかし、ある隠者いんじゃがいた。年は70くらい、貧乏で、門番をしていた。偉い方がかれの評判を聞いて招待し、贈りものをしようとした。しかし隠者は

「わしは何十年ものあいだ、こころがけを正しくし、おこないをキレイにしてきたにゃ。貧乏だからといって、贈りものをいただこうとは、おもいにゃせんにゃ」

と、言って断った。

 そこで偉い方は、1人で馬車を引いて隠者のもとにいき

「あにゃたのために宴を開きにゃす。この馬車は、あなたが乗るために、わたしが従者となっていくためのものですにゃ。ぜひこの馬車に乗り、いっしょにいきにゃしょう」

と、言った。これがのちに国を救う2人の出会いであった。

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