無重力
雨世界
1 私はあなたと一緒に生きることにした。
無重力
プロローグ
私はあなたと一緒に生きることにした。
本編
1
孤独な人工衛星
それは、まるで奇跡みたいな出来事だった。
「人工衛星って、初めてみたけど、こんな不思議な形をしているですね。それに思ったよりも、ずっと大きいんだ。人工衛星って」
巨大な展示物として、飾られているもう現役を引退した本物の人工衛星の姿を見て、百花は言う。
「そうだよ。結構実物は大きいし、どれも個性的で、面白い形をしているんだ」にっこりと笑って、鏡は言った。
百花はいろんな人工衛星の写真が載っている展示物のコーナーに目を向けた。そこには歴史上の古い順番からいろんな形をした各国の人工衛星の写真が、簡単な説明文とともにずらりと並んでいる。
有名なものだと、スプートニクとか、カッシーニとか、ガリレオとか、あとは日本のはやぶさなんかもそこには写真が載っていた。(ほかのものもたくさんあったけど、百花にはよくわからないし、よく知らないものばかりだった)
「鏡さんは、ここにある展示物の名前。全部わかるの?」百花は言う。
「うん。一応わかるよ。宇宙好きだし。勉強もしてるし。あと、人工衛星だけじゃなくて、衛星とか、遠い銀河の星の名前とか、写真で見るブラックホールの姿とかも知っている」嬉しそうな顔をして鏡は言う。
「そうなんだ。すごいな」
百花は歩きながら言う。
鏡はそんな百花の少し後ろを歩いている。
百花は現在、大学の一年生。そして、鏡は大学院の二年生だった。(修士二年生だ)
年齢でいうと百花は今年十九歳。鏡は二十六歳だった。(鏡は二年、浪人していた)二人の年齢は七歳も離れている。そんな二人がこうして知り合いになったきっかけは、鏡が百花の家庭教師として、百花の両親に雇われて、約一年の間、百花の部屋で仕事をしていたことがあったからだった。
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