第25話 金属みたいな敵に会った
あの後、吉田からは全て上手くいったと話してもらった。
流石に、エンシェントドラゴンの件は俺も聞いててお茶を吹きそうになったがな。
あの夜、俺も偶然コンビニに寄るために外に出ていたのだが……その時俺は、空に巨大な紫色の光線が立ち昇るのを目撃してしまっていたのだ。
何事かと思っていたが、アレに自分も一枚噛んでいたといいうことが発覚したのだから、驚きも何倍にも膨れ上がるというものである。
しかし、あれは……折り紙の工程の複雑さが式神の強さと比例する、ということだったりするのだろうか。
俺は折り紙に明るくないので、自分ではそれは検証しようがないが、吉田には追加で数枚形代化折り紙を渡してあるので、またいつか成果を聞きたいところではある。
他人が折っても式神になるということが分かってからというもの、俺はネットで千羽鶴用の折り紙を大量購入した。
千羽鶴用にしたのは、特に深い意味は無く、まあ枚数の多い「業務用」的な感覚でそれにしたということである。
折り紙一枚を形代化するのに必要なMPは250で、俺の現在の最大MPは117000。
MP全回復にかかる時間は6分なので、俺は一時間あたり4500枚以上の折り紙を形代化できる。
てなわけで、食事時間や本を読んでる時とかに片手間で形代化をしていると、平日帰ってからで買った分の折り紙を全部形代化できてしまった。
それゆえ、次の週末は。
普段通り、モンスター討伐に出かけることにした。
例の3つのスキルを使って空を飛びながら、時々「第6のイーグルアイ」を発動し、モンスターが近くにいないか探知する。
1時間くらい何も見つからず、「今日は平和か?」と思い始めた時……やっと、今日1体目のモンスターに遭遇することができた。
今回遭遇したのは、サイのような見た目をしたモンスター。
だが……その様子は明らかに普通ではなく、全身が金属のような光沢を発していたのだった。
とりあえず……金属っぽいから、雷が効くかな?
「アークストライク」
そう思い、金属っぽいサイに雷撃を落とすと……サイは一瞬で消滅し、その場には一枚の紙が出現した。
思った通り、金属っぽいのには雷撃がよく効くみたいだな。
そう思い、ドロップした素材を拾いに行こうとして……俺はふと、一つの違和感を覚えた。
この紙は、何だ?
俺の知る限り、ドロップ素材はいつも球状のものばかりで……こんなペラペラしたものがドロップすることなど、一度として無かった。
これは本当に、ドロップ素材なのか?
気になって鑑定してみると、それは「ガチャチケット」というものだということが分かった。
なにやら、これを使うと念じれば、新たにガチャを引くことができるのだとか。
ものは試しと思い、「ガチャを引く」と念じてみると……ガチャチケットは消滅し、変わりにガチャマシーンが姿を現した。
おなじみのアレか、と思いかけたが、よく見ると細部は結構異なっていた。
お札を挿入するところは無く、代わりにレバーの横に「一回限り」と書かれてあったのだ。
これは……タダで引けるということか。
そう思い、レバーを引くと……俺はこんなスキルを引くことができた。
★6 アーティファクト恩恵上昇EX
そして、ガチャマシーンは消滅した。
今のは一体、何だったんだ?
そして、何でこのサイからはドロップ素材ではなくガチャチケットなどというものが手に入った?
色々と疑問は浮かんだが、ただ考えるだけより考えながら行動もした方が良いと思い、俺は次のモンスターの討伐に赴いた。
◇
そして……しばらく飛んで、「第6のイーグルアイ」で探知できたモンスターのもとへ向かうと。
俺は、懐かしい集団と鉢合わせすることになってしまった。
「あれ、北野君じゃないか。偶然だなあ」
そう声をかけてきたのは、掃魔集会のリーダー。
どうやら俺は、図らずも彼らの獲物に目を付けてしまったみたいだった。
「お久しぶりです」
「なんか凄く稼いでるみたいだな」
「おかげさまで……」
などと他愛もない話をしていると、俺たちはそのモンスターに遭遇した。
今回出会ったのもまた、例の光沢のあるサイだった。
「あれ、雷に弱いみたいなんで倒しておきますね」
獲物の横取りはしたくないし、雷撃だけ加えたら俺は次の敵を探しに立ち去ろうか。
などと思いつつ、俺はアークストライクを放った。
すると先ほどと同じように、光沢のあるサイは即消滅し、ガチャチケットを落とした。
「では」
俺は掃魔集会のみんなの方を向き、そう言って手を振った。
だが……なぜか、みんなは目を丸くして、唖然としたような表情になっていた。
「「「メタルな敵を一撃って、どういうことだーっ!!」」」
……メタルな敵?
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