第3話

「はーーー!? 」

何じゃこりゃ、いつの間に!?

「いやいやいや俺さっきまでうちの制服着てたんだって! うちの高校! 大安吉日高校!! 」

「なにそれ」

「ジョークみたいな名前だな」

「いやちょっと校長はアレだけど結構良い高校でって・・・。そう、俺、さっきまで家の中にいたんだって! 」

 俺とワンコ系とスポーツ系イケメンのやり取りをじっと見ていた王子様系イケメンは小脇に抱えていたパッド型パソコンを取り出し、俺に尋ねた。

「君の名前は? 」

「山田太郎」

 彼は無言のまま何かを調べ始め、しばらくしてぽつりとつぶやく。

「・・・確かに君のデータはないね」

ワンコ系イケメン、略してワンコが黒猫ど〇えもんに尋ねた。

「どういうこと、クロッピー? 」


 クロッピーっつうのか!! と言う俺の衝撃は黒猫と彼らが親し気にしゃべっている事でさらに追い打ちをかけた。クロッピーが俺にくるりと向き直る。

「山田くん、ここに来る直前何をしていたのかな」

「お、おまえなに・・・、」

「後で説明するから。それより質問に答えて」

 どう見ても違和感しかないクロッピーにぴしゃりと言われた事で、却って冷静になれた。

「え、えーと、ゲーム。そうそう、ゲームをしようとしてた」

「そのゲームの名前は?」

「B&L学園」


 俺が答えた瞬間、3人のイケメンとクロッピーがぴしりと硬直したように見えた。クロッピーが続けて問う。

「ゲームしようとした時に何があった? 」

「地震。その時物が落ちてきてすげぇ痛かった」

「これって・・・」

 王子様系イケメン、略して王子様が眉根を寄せクロッピーに尋ねる。クロッピーは断定するように大きくうなずいた。

「山田君、君は今、そのゲームをしようとしていた世界の中にいるんだ」

「へ」

「ここはB&L学園、君がまさにゲームをしようとしていた世界だよ」

深刻な表情でイケメン達とクロッピーが俺の方を見た時、俺はもろ手を挙げた。

「いやったー!! イケメンとリアルBLライフぅぅー!! 」

「・・・は」

 イケメン達とクロッピーまでもがドン引きの表情で俺を見ている。あ、いつの間にか数メートル俺から距離取りやがったな。

 ワンコが苦悶の表情で目頭を押さえた。

「・・・あのさぁ。こういう時フツー元の世界に戻らなきゃとか焦るものでしょ。何その超ポジティブ」

「あ、俺バリバリのゲイなの! それでこのゲーム買ったんだし、分かるでしょ? だからイケメンとラブラブいちゃいちゃできるの大歓迎! 優先度はそっちが先でぇー、元の世界に戻る方法はゲームしながらゆっくり探ればいいかなって。君たちアレでしょ、攻略キャラクターってやつでしょ? じゃあこれからよろぴくー♡」

 そう一気に言った瞬間、3人の周りの温度がスッと下がった。

 なに、怒ったの~? まぁSも嫌いじゃないけど。

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