【ありおれ】ありのままを見て欲しいんだよ俺は!

浅野新

第1話

 俺は山田太郎、高校二年生、ピッチピチの17歳☆

 何を隠そう、と言うか全く隠していないが俺はゲイでBLも好きな腐男子だ。ネアカでポジティブな性格から家族にも学校でもとっくにカミングアウト済み。俺のあまりに堂々とした態度と今のご時世から特に周りは何も言ってこない。どころか女の子の友達、特に腐女子仲間がいっぱいできたから楽しい毎日だ。ただ、ちょーっと明るすぎるこの性格が災いしてか、リアルで恋人ができた事がないのが少し悲しい。腐女子仲間は若干引き気味に「山田君、ちょっとアレが明け透けすぎるから」って言うが明け透けって何?国語の成績はいつも赤点ギリギリだからよく分かんないぞ?


 そう言うわけで、リアルで彼氏がいない俺は今日も趣味の一つであるBLゲームでアローンな心をイケメンに慰めてもらおう♡と、さっき買ったばかりのBLゲームソフトを片手に嬉々として家路をたどっていた。

「顔が良くて適度に鍛えた細マッチョな身体で勉強もスポーツも料理もできて性格も良くて俺にめろめろで絶対浮気しない、スパダリキャラがいっぱい出てくるんだあー。俺幸せ♡」


 家に帰って早速パソコンを立ち上げディスクを入れる。画面が表示されるのをどきどきしながら待っていると、カタカタと窓が鳴った気がしてそちらに顔を向けた。その瞬間、下からドンと突き上げる感じがして地面が大きく揺れた。

「げ。地震か」

 少し大きい。でも大丈夫、落ち着いて机の下にでも隠れていれば、と椅子から立ち上がった時、机の脇に置いてある高い本棚の上から置いていた辞書やトロフィーなどがドサドサと俺の頭の上に落ちてきた。

「っっつ!! 」


 意識を失う瞬間、母ちゃんの言う通りだった、棚の上に重い物を置いておくんじゃなかった、なんてぼんやり思った。


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