百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜
Act.8-12 誕生日会の二次会と、ドリームチームトーナメントと……。 scene.4 甲
Act.8-12 誕生日会の二次会と、ドリームチームトーナメントと……。 scene.4 甲
<三人称全知視点>
第一回戦第三試合は琉璃が率いるパーティとジルイグスが率いるパーティという対戦カードだ。
琉璃が率いるパーティはナトゥーフ、カリエンテ、スティーリア、ラファールの
対するジルイグス率いるパーティはブライトネス王国第一騎士団騎士団長のジルイグス、第二騎士団騎士団長のディーエル、第三騎士団騎士団長のモーランジュ、天馬騎士団騎士団長のイスタルティ、天馬騎士団騎士団長のペルミタージュ、王国宮廷近衛騎士団騎士団長のシモン、ド=ワンド大洞窟王国の軍部の最高司令官パーン、宮廷騎士団長のロックス、海上都市エナリオスの軍司長のシャードン、フォルトナ王国の白氷騎士団副団長のモネというブライトネス王国、ド=ワンド大洞窟王国、フォルトナ王国の三国の武官という構成になっている。
両パーティとも寄せ集めの人員によって構成されており、第二回戦のようなある程度固まったパーティと相手パーティの数人との戦いのような展開ではなく、それぞれがそれぞれの陣営の大将を狙う遭遇戦を繰り広げていた。
「おや、これはまた素晴らしい方と巡り会うことができましたね。お噂は予々伺っております、
『コイツがローザ嬢の言っていたドMの男か。……確かに、これは難儀な性格だな』
森の一角で出会ったモネのドM発言を聞いたカリエンテがなんとも言えない表情を浮かべる。
戦闘狂で口よりも先に手が出るタイプのカリエンテだが、このように大っぴらに「殴って欲しい」と言ってくる相手とは出会った経験がなく、カリエンテはこの珍しいタイプの変態をどう扱っていいか困惑したのである。
そもそも、カリエンテは交戦的で本気でぶつかり合う戦いを好んでいる。このように一方的に殴られて満足するような相手はカリエンテの理想とする敵とはまさに対極にあった。
『我はただ殴られるだけの相手を嬲る趣味はない。……かつての我ならそのようなことをしただろうが、今の我はそのような相手を貶める戦いはしないと決めている。力を持つ者はその力に恥じない生き方をすべきだと思っているからな。……我と戦いたくば、全力を尽くして我を倒しに来い! モネ=ロータス!』
HP:30,000,000
MP:20,000,000
STR:80,000,000
DEX:40,000,000
VIT:21,000,000
MND:21,000,000
INT:5,000,000
AGI:39,000,000
LUK:10,000,000
CRI:10,000,000
▼
カリエンテもまた、欅達と同じように五年の間に新たな力を得ていた。
その力は、かつてユミル自由同盟の獣王決定戦でネメシアと相対した頃よりも遥かに強くなっている。
元々強い
しかし、モネは全く怖気付いた様子もなく、剣を差やから抜き払い全身に武装闘気と覇王の霸気を纏わせた。
『ほう、覇王の霸気か。……ならば、その力で我の攻撃を耐えてみせよ! 耐えるのは得意なのだろうッ!
カリエンテが大きく口を広げ、猛烈な溶岩流のブレスを放った。
本来の竜の姿で放つ本気のブレスに比べれば威力は数段落ちるが、かつてカリエンテがネメシスに向けて放ったブレスよりも僅かに威力が高い。
「…………なかなか素晴らしい一撃でした。しかし、個人的には直接打ってくださる方が好みですね」
しかし、溶岩流の中から姿を現したのは全くダメージを負った様子のないモネだった。
これには、カリエンテも驚きを隠せず、思わず二度見してしまう。
「私は元々頑丈ですが、武装闘気と覇王の霸気を獲得した今、その硬さに更なる磨きが掛かりました。そして、私の魂魄の霸気は攻撃を浴びて痛みを感じる度に力を上昇させていく《耐攻者》――私は攻撃を耐えれば耐えるほど強くなっていくのですよ」
『……タチの悪い魂魄の霸気を持っているのだな。我の感情を昂らせる度に力を増し、攻撃技を放つ度に攻撃力を増していく《情熱攻勢》と同じ蓄積型タイプか。徒に攻撃してもお前を強化するだけというのはよく分かった』
この五年で少しは冷静さを覚えたカリエンテは、さてどうしたものかと直情型で考えるより先に手が出る彼女には似合わぬ思案を巡らせる。
そして、僅かに思案した末に――。
『そうだな。強化して更に厄介になる前に殴り殺せばいいのだな!』
結局、戦略もへったくれもない彼女らしい「とりあえずぶん殴ってぶん殴って殴り殺す」という結論に達した。
『モード
赤き翼と尻尾、竜の角を生やし龍人の姿と化したカリエンテが両手に灼熱の焔を纏わせた。
更に武装闘気と覇王の霸気でコーティングすると、大きく翼を羽搏かせてモネに肉薄した。
『――吹っ飛べッ!』
対するモネは素早く抜刀すると同時に武装闘気と覇王の霸気を纏わせて迎え撃った。
覇王の霸気の衝突により無数の黒い稲妻が生じ、カリエンテの拳と『
しかし、この戦いでダメージを負っていたのはモネの方だった。
「嗚呼、素晴らしい痛みですッ! 神光闘気を仕組んでいたのですねッ!!」
『あの猛烈なエネルギーを喰らってまだそんな余裕そうなの、本当におかしいと思うぞッ! だが、これならどうだ!?
無数の火柱が森を焼き尽くしながら出現し、無数の完全体姿のカリエンテが戦場に降臨した。
『――《情熱装填》ッ!』
本物のカリエンテが空いている左の拳を開いて指で銃の形を作ると無数の火竜に向けて次々と赤い弾丸を撃ち込んでいく。
撃ち込まれた炎の竜が黒く染まり、黒い稲妻を纏った。
『――
カリエンテが翼を羽搏かせて上空に舞い上がり、離脱すると同時に無数のカリエンテの分身達が武装闘気と覇王の霸気、神光闘気を纏って特攻を仕掛ける。
カリエンテの《情熱装填》の効果で《情熱攻勢》で生じたエネルギーを受け取ったカリエンテの分身達の捨て身の攻撃はモネに殺到し、衝突と同時に自爆して無数の爆発を生じさせた。
『――
更に駄目押しとばかりに竜化したカリエンテは上空から武装闘気と覇王の霸気、神光闘気を練り込んだ猛烈な溶岩流のブレスを放った。
カリエンテの分身の自爆特攻で撃破されたのか、最後のブレスがトドメとなったのか、煙が晴れた時にはモネの姿は影も形も無くなっていた。
◆
所変わって琉璃チームの本陣に程近い東側の森の一角――ジルイグスチームのディーエル、ロックス、シャードンの三人はそこで琉璃チームのオリヴィア、リィルティーナ、レミュアの三人と相見えていた。
「
オリヴィアが唯一習得している大魔法が発動し、ただの大気が一瞬にして地面すら抉る突風へと変化する。
「高速錬成魔法・〝ウルツァイト窒化ホウ素〟の防壁」
その規格外な攻撃をロックスは自身の金属製魔法を駆使して展開した防壁によって無効化、開始早々全滅という最悪の事態を免れた。
「エゲツない魔法を放ってきますね。錬成魔法で何とか凌げましたが、これでは落ち落ち近づくこともできませんね」
金属性と光属性の複合高速錬成魔法「高速錬成魔法・聖剣」と金属性と闇属性の複合高速錬成魔法「高速錬成魔法・魔剣」で聖剣エヴァンスカリバーと魔剣ジュラルスレイヴを瞬時に錬成したロックスが顰面で風に付与魔法を掛けて大規模破壊魔法を放ってきたオリヴィアに視線を向ける。
ロックスの中では、オリヴィアとリィルティーナは「可愛い顔をしてエゲツない攻撃を放ってくる年少コンビ」という印象の二人だ。
竜の巫女でナトゥーフの娘と、レジーナの弟子で聖女クラリッサの血を引く天上の薔薇聖女神教団の聖女のリィルティーナ――ローザの同期として学園入学が決まっている二人はミーフィリアの弟子であるレミュアが霞んでしまうほどの驚異的な力を持っている。
「
「撃ってきましたな。ロックス殿、この壁はどれくらい耐えられるものですか?」
「この威力だとあまり耐えられるとは思えませんね。シャードン殿、何か撃てる手立てはありませんか? 私は遠距離魔法の方はからっきしでして」
「私は水と火の魔法に適性がありますが、水の魔法には遠距離攻撃が可能な魔法がいくつかあります。……と言っても、付与魔法に耐えられるほどの状態で維持しようとすると無防備になりますのでロックス殿にはその間、守って頂けるとありがたいですね」
「……あの二人の魔法を全で防ぐことは難しいでしょうが、なんとかするしかありませんね」
「ならば、私は二人がオリヴィアとリィルティーナに全力で力を注げるようレミュア殿と戦わせてもらうことにしよう。風纏-クラック・ロード-。風爪神速剣-ストームマグナ・ヴェロシティ=十二倍速-!」
剣に風を纏わせ、風を纏うことで速度を上げると防壁を飛び出してレミュアに切先を向けて全力疾走で迫っていく。
「風獣顕現・暴風恐鳥-テンペスト-」
更に、ディーエルの足が触れた場所から猛烈な竜巻が発生し、竜巻が巨大な鳥の形へと姿を変えるとオリヴィア、リィルティーナ、レミュアに向かって襲い掛かった。
「焔獄爆裂孤斬」
レミュアが剣に焔を纏わせると同時に一閃し、放たれた孤月状の斬撃が暴風の鳥に着弾すると同時に激しい爆発を引き起こした。
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