百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜
Act.3-4 国王陛下御前の模擬戦-ローザvs戦闘使用人- scene.4
Act.3-4 国王陛下御前の模擬戦-ローザvs戦闘使用人- scene.4
<一人称視点・ネメシア>
「阿修羅鵬凰脚」
超高速で横から殴りつけるように迫った刺付き鉄球を武闘家系二次元職の格闘家の奥義で蹴る。
「阿修羅鵬凰脚」という技名のエフェクトがデカデカと出現し、刺付き鉄球が砕け散った。
「…………うそ」
流石にニーナもこの状況は予想していなかったみたいだねぇ。
呆然としているニーナに狙いを定めたことに気づいたナディアが無数の苦無を放ってきた。ああ、「火精-爆裂灼熱-」を込めたみたいだねぇ……そういえば、原初魔法の使い方は教えてあげたっけ。
「Ich enthülle die Flammenwand.」
FDMMORPG『SWORD & MAJIK ON-LINE』のマジックスキルで炎の壁を作り出し、苦無諸共焼き尽くして原初魔法の発動を妨害する。
「
武闘家系二次元職の格闘家が習得できる目にも止まらぬ跳躍や残像の残るような鋭い踏み込みを駆使して、敵の迎撃やバットステータスフロアを無視して自由に移動する特技から、右ストレート、左ストレート、右フックの三つのパンチを連続して放つ武闘家系一次元職の武闘家が覚える特技の一つを繋げていく……そういう算段だったんだけど。
「幻氷の盾」
「氷精-極寒の防壁-」
カレンが水属性の魔法で作り出した盾を分子活動を強制的に停滞させて凍らせて氷の盾を作り、そこにヘレナが氷属性の原初魔法を込めた弾丸を撃ち込んで氷を補強したのか……なかなか考えたねぇ。
でも、それじゃあ止められないねぇ。「
「すまないねぇ……ちょっとだけやり過ぎたかな? ……これ、飲める?」
気絶したナディアとニーナの口の中に神水を流し込んで体力を回復させてから戦場外へと背負って運んでいく。
そこまで終わってから戦場に戻って仕切り直し……だから、途中で攻撃してもいいって何度言えば。なんで毎回律儀に待って正々堂々と戦うんだい? 暗殺者が。
「さて、残りは四人だねぇ」
アカウントをネメシアからラナンキュラスに切り替える。さて、どう攻めようかな??
「…………さあ! 強化してやろう! もてる力のすべてでかかってこい!」
援護歌と呼ばれる吟遊詩人系の特技を多用し、助奏のオブリガードで自分に対する援護歌の効果を無効化する代わりに他の対象者への援護歌の効果を上昇させ、快活のヴィヴァーチェで対象者達(自分を除く)のステータスを一段階上昇させ、神速のエチュードで対象者達(自分を除く)の武器攻撃速度と命中率を上昇させ、舞踏のパヴァーヌで対象者達(自分を除く)の敏捷性を上昇させ、フォルティシシシモで対象者達(自分を除く)の攻撃力を特大上昇させる。
「……この、最初の不思議のダンジョン探索の時に恩恵に預かったけど、やっぱり凄いわね。普段よりも段違いに強化されているわ。……でも、本当にいいのかしら? ここまで強化してもらって」
「まあ、万全の状態で戦えた方が嬉しいでしょう? 援護歌はボクにだけ効果がないようにする代わりに効果を大幅に上昇させたし、簡単に負けないでねぇ。共鳴のドラム・ビート」
『妖刀・紅月影』に旋律を宿らせる。音の衝撃波を叩き込むことで敵の体を媒介として振動共鳴現象を引き起こし、衝撃波のエフェクトを持つ敵にダメージを与えることで衝撃波が炸裂して追加ダメージを与えることができる。
この特技の凄いところは衝撃波エフェクトが二回目以降の攻撃が入ることで衝撃波エフェクトの発生時間を引き延ばすことができることだねぇ。衝撃波エフェクトを持った敵を連続で叩き続けることで衝撃波エフェクトを残しつつ大ダメージを与え続けるというのが基本戦法なんだけど、対人戦だと普通は途中でコンボを断ち切られちゃうからあんまり上手くいかないんだよねぇ。
二、三回上手くコンボが繋がったらそれで良しって思った方がいいんじゃないかな?
「雷精-黒稲妻-」
コンバットマグナムから発射された六発全ての.357 inの弾丸に原初魔法を仕込んで放ってきたか。
ところで、ボクが圓の頃に愛用していた武器は「打刀・叢時雨」と「打刀・宵時雨」の二刀流、
「短刀・秋霖」、「短刀・春霖」は四次元空間に仕舞ってあったし、そもそも量産したものだったから被害は無かった。「雷式拳銃
まあ、それが本題っていう訳じゃなくて、実際にボクも圓の頃から自作した武器をいくつか持っていたんだけど、それは元々購入した数多の武器を実際にバラして、改良を重ねたものであって、外国産や大倭産の武器を持っていないって訳じゃないんだよねぇ。
それに、完全オリジナルでも、既存のものでもないっていう五種類目の武器ってのも実は所有していたりする。その一つが――。
「南部式大型自動拳銃 改」、南部麒次郎によって開発された別名、南部大拳とも呼ばれる自動拳銃を最適化したもので、見た目はそのままに徹底的に無駄を省き、より実戦的な使い勝手の良いものへと改造してある。弾丸は8x22mmで8x22mm南部弾と同じ弾丸径を選んだ。……これって9x19mmパラベラム弾や7.62x25mmトカレフ弾よりも扱いやすい代わりに威力が劣っているんだよねぇ。まあ、扱いやすさで選んだ組み合わせだから問題はないんだけど。
8+1発から六発の弾丸を発砲して、ヘレナの発砲した弾丸全てを撃ち落とす。狙撃の腕は高くても拳銃の扱いの方はまだまだ練度は低いから、利き手じゃない左手でも充分対応できそうだねぇ。これが斎羽さん相手とかになると流石に右手を使わざるを得なくなるけど。
「
暗殺者系二次元職の暗殺卿が覚える敵の隙や不意を突いて不可視の奇襲攻撃を行うスキルを発動してヘレナのコンバットマグナムを両断し、接近したまま腹に一撃を入れて気絶させる。
「幻惑爆散」
水を利用したカレンの虚像を、四散させて小さな礫に変える。その礫状のものの分子活動を強制的に停滞させて凍らせ、指向性を持たせて敵に放つ。
二度目の「幻惑爆散」か。しかも、複数方位から同時に仕掛けてきたみたいだねぇ。
「千羽鬼殺流・歳星」
木星の別名の名を冠する鬼斬の技で霊力に形を与えて、生み出した無数の炎の竜で氷の礫を喰らい尽くして蒸発させる。
変則的で型破りな斬撃を放ってカレンを守るように立ち回るアクア……さて、どうしようかねぇ。アクアとは是非リーリエで一戦交えたかったんだけど。
「幻氷の大角礫」
「
「南部式大型自動拳銃 改」を戻し、『妖刀・紅月影』を鞘に納めてから、統合アイテムストレージから木製の薙刀を取り出し、横振り、右斜め振り、左斜め振り、上下振りの八方向に連続して攻撃を仕掛ける。
五十嵐流初代、
これをなんでボクが使えるかっていうと、圓の頃の使用人の一人で司書統括の役職だった蛍雪さんが、昔武蔵国府中にある密教系の寺、照慈寺の住職で、静寂流の継承者の
まあ、ボクはあくまで蛍雪さんから技を教わったのと、ちょっとだけ照慈寺の方に融資をしたっていう程度の関係だから迦陵との接点はそれほどないけど、【情報に巣食う大妖怪】なんて呼ばれている人だし、実際にただならぬ人だったから敵対することがなくて本当に良かったと思うよ。
同じ師匠から学びながらも、表で生きて、そして歴史の激動の中で絶滅の危機に瀕していた五十嵐流と、裏の世界を進み、廃らせることなく十九芸全てを継承し続けた静寂流……本当に面白い対比になっているよねぇ。
「幻氷の大角礫」で生成された刺々と前方に三角錐が突き出した巨大な氷の塊を打ち砕き――。
「共鳴のドラム・ビート! 静寂流十九芸 槍術一ノ型 五連星」
木製の薙刀を戻して代わりに木製の槍を取り出しながらカレンに肉迫し、端からは一突きにしか見えない五連突きを放つ。
なんとか取り出したナイフで鳩尾を狙った一撃目は弾けたみたいだけど、右肩、左脇腹、二度目の鳩尾、左足を狙った残り四撃は躱せなかったみたいだねぇ。
三度目以降攻撃の度に「共鳴のドラム・ビート」の衝撃波のエフェクトが炸裂してカレンにダメージを与える。
流石に気絶とまではいかなかったけど、ボロボロだねぇ。
「はい、これ飲んでねぇ」
「…………ありがとうございます、お嬢様」
カレンに神水を飲ませてから後退してもらい、戦場に残るのは後二人――執事長のジーノと謎のリボンメイド、アクア。
「キャラクターチェンジ・リーリエ」
木製の槍を統合アイテムストレージに戻してから、アカウントをリーリエに切り替える。
「さあ、最高の戦いを演じて俺を楽しませろ!」
ラインヴェルドがニヤリと笑ったのを合図に、ボク達は互いに武器を構えて激突した。
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