うるさい犬を黙らせる
やっち
プロローグ
犬がうるさい。
隣の家の庭先で飼われている柴犬、年齢は4歳くらいと推定される。飼われ始めたのは4年前、当時は子犬だったからだ。人の顔を見ては吠える。別に人の顔を見なくても吠える。苦情を言っても飼い主はどこ吹く風、一向に改善が見られない。
そもそも、犬を庭先で飼うことが間違っている。暑さや寒さ、雨や風、餌の腐敗や水の汚染そして感染症などのことを考えると庭先ではなく室内で飼うべきなのだ。
犬は群れで行動するオオカミを家畜化したものだ。従って単独でいることを良しとせず、仲間、つまり飼い主と共に過ごすことを好む。
寂しくて吠えているのかもしれないと思うと心が痛むが、それとこれとは別の話だ。
犬を黙らせることにした。
とはいえ犬に対して「君うるさいよ、静かにしてよ」と言っても犬は日本語を理解しないだろう。仮に理解したとしても、そのとおりに静かにしてくれるかどうかもわからない。
古来より、馬を水辺に連れていくことは出来ても馬に水を飲ませることは出来ないと言う。最終的に水を飲むかどうかは馬の意思にかかっている。
犬も同じである。犬に黙れと言うことは出来ても、実際に黙らせることは出来ないのだ。
不本意だが、殺害することにした。
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