告白してないはずなのに何故か学校の美少女たちと付き合っていることになっている件
神崎夜一
第1話 強靭黒崎
「ねぇねぇ、あいつw強靭黒崎さんと付き合っているらしいぞwww」
「流石にねぇーだろw」
「いや、それがマジなんだってw」
「あんな根暗なやつと強靭黒崎さんが?wいやいや釣り合わねぇーだろw」
「確かにそうなんだけどさwみっちゃんが言ってるなら本当だろww」
「みっちゃんかw」
「それに学校中にも噂が流れていてさw一緒に歩いているのを見たって何人も言ってるんだよw」
「ま、マジかよ!うわーあんなのが付き合えるなら俺狙っとけば良かったーw」
「それなw俺でも行けたよなw」
「はぁー」
「はぁー」
「「あいつ羨ましいー」」
クラス中から囁き声が聞こえてくる。誰も彼もが同じ話題で盛り上がっているようだ。俺に視線を浴びせながら沢山の生徒が話していて、汗が止まらない。それもそのはず、みんなの前で発表するくらいでも死ぬほど緊張するのに常に周りから視線が感じられるのだ。生きづらいったらありゃしない。
それに
何のことーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!??????
俺はそもそも人と話さないし、それが学校一の美少女、黒崎千崎と話すことなんかおこがましすぎるのだ。むしろ何故ここまで身も蓋もない噂が流れているのか、不思議なくらいだ。風評被害にも程がある。平凡な俺の高校生活を返してくれ。
後、補足するが強靭黒崎とはその名の通り、イケメンにも誰に告白されてもなびかない強靭な壁の持ち主ということで強靭黒崎と裏では呼ばれているらしい。
「後さ、あいつ強靭黒崎とヤったらしいぜwww」
「ふざけんなよ!なんで俺が童貞であいつが非童貞なんだよw人生勝ち組ってかwww」
「今まで純粋無垢な黒崎さんだと思ってたのによww」
「もう黒崎さんを冷めた目で見てしまうぜww」
「だよなーww黒崎さんがインキャ好きなら、俺たちもインキャラになるか?ww」
「それありかもw」
「だなw」
いやいやなんで俺がそこまでやったことになってるの?
俺童貞だし、勝手に変な噂を信じるのやめてほしい。
「ちょーやべーww」
「強靭黒崎って彼ぴ持ちだったのww」
「風紀委員で不純異性交流を取り締まっているのにまさか自分がやってるなんて、マジうけんだけどーwww」
「それにさ、クラスで初じゃない?ww彼氏彼女の関係ww」
「だよねーwwまだ5月ってのに出来るの早くないーwwwもしかして強靭黒崎って意外とやり手だったりww」
「それあるーw表に出さない人ほど欲求があるらしいよーww」
「てかもうヤったんだよね?ww」
「みたいだよねーww流石に早すぎww」
「付き合って一週間でヤるとか笑えるww」
「それなww」
「あんなののどこが良いのかw」
「私も理解不能ww黒崎の趣味なんじゃないのーww」
「インキャ好きww」
「でもさ、やっぱり」
「「羨ましいー」」
だから、黒崎さんまで影響が出てるよ。
ヤるとか普通に考えてありえないだろ。黒崎さんはみんなのイメージ通りでクラスの委員長で風紀委員にも所属しているリーダー的な存在で合ってるよ。俺みたいな奴と付き合っているなんか、よく考えたらありえないだろ。そこを何故かみんなよく信じられるものだ。噂っておそろしい。
それにみんなこぞって羨ましく思うなよ。そんなに気になるのかよ。確かに学校一の美少女と根暗でインキャな俺とでは不釣り合いだが、何故俺なの?黒崎さんなら噂の一つや二つたっても不思議ではないけど、クラスの端に生きる俺がその噂のタネに選ばれるってそんなの訳がわからない。
まだ5月の中旬で噂が流れてさ、高校卒業までは流石にないよな?お願いだ、早く黒崎来てくれ!否定してくれ!
そして、俺の願いが叶ったのか、噂の本人である黒崎千崎が扉を開いた。
黒崎が現れた途端、クラス中がシンと静まりかえり視線が黒崎に当てられる。
すると、クラスの生徒が黒崎に声をかけた。
「ねぇー黒崎さん?」
金髪ロング、付け睫やネイル、メイクを高校生では派手めのをつけ、ギャルを思わせるその風貌で黒崎さんに尋ねる。
「何か?」
黒髪ショートで凜然とした雰囲気を纏う少女、そのおかげもあり、とっかかりにくい感じもするが、誰に対しても笑顔を振り向き、クラスの中心人物が黒崎千崎だ。だけど、今回は違った。既に噂を聞いたのか気分が優れないようだ。
鋭い表情で聞き返し、矢崎という生徒は汗を滲ませる。
「えーと、黒崎って〜。あいつと付き合ってるの?」
指を刺された俺はすぐさま目線を外す。クラスの人の名前くらい覚えて欲しい。
黒崎は視線を俺に送るとすぐさま矢崎に戻し、言い放つ。
「えぇ。付き合っているわよ」
え?
い、今なんて言った??
「き、聞き間違えかもしれないからもう一度聞くね。あいつと付き合ってるの?」
「何度も言わせないで欲しいわ。付き合ってるの」
「「「「え?」」」」
それは身も蓋もない話で俺と黒崎さんとでは釣り合わなくて、だけど、この噂から始まった物語は俺の高校生活を一変させる出来事になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます