第14話【空き教室で】

「ここであってるんだよな?」


やっとの事で誠司からの追跡を巻くことに成功した俺は何回も携帯に送られてきたメールに書いてある教室の場所と今いる自分の場所を何度も確認する。


今は昼休み。

俺は何とか休み時間に誠司にバレることなく一姫と連絡を取る事に成功し、昼休みに落ち合って話をすることになった。

そして、その話をする場所として一姫が指定してきたのは南校舎の二階、一番奥にある音楽室の一つ隣りにある今は使われていない空き教室だった。


コンコンコン。


「一姫、いるか?」


「透くん?

少し待ってね」


恐る恐るノックをし、教室の中に声をなげかけると中から一姫の声が聞こえてきて一安心する。


ガチャ。


「透くん、今鍵開けたから入ってきて」


「ああ、わかった」


言われた通り扉を開け中に入る。

教室の後ろの方には二十個ほどの机と椅子が固めて置いてあり教室の真ん中辺りに四つの机と椅子のセットが置いてあった。


「透くん。

何ボーッとしてるの?

早く鍵を閉めてこっちに座りなよ」


鍵を開けた後、真ん中辺りに置いてある椅子の一つに座った一姫が声をかけてくる。


「ああ、そうだな。

それにしてもカーテンも全部締めて扉の鍵も閉めたら完全に密室に二人きりだな」


男女が密室で二人きりだなんてけしからん場面である。


「一緒に住んでるわけなんだし今更だよ」


「だな」


俺は一姫の意見に賛同しつつ鍵を閉め一姫の対面にある椅子に座る。


「それにしてもよくこんな部屋使えたな」


この学校では基本的に全ての鍵は職員室で管理されており、それは空き教室を部室として使っている生徒も例外ではない。なので、空き教室に入るには先生から許可を貰い鍵を借りることが必ず必要になってくる。


「担任の先生に今日は、多くの生徒に質問攻めにあい疲れてしまったので昼食ぐらいは一人でゆっくりしたいのですが何処か空いてる教室を貸して貰えないですか?って言ったら今日の私の惨状を知っている先生が快くここの鍵を貸してくれたの」


「信頼されてるんだな〜。

絶対に俺が同じ状況でお願いしても貸してくれなかっただろうな」


「そうですか?

透くんも優等生じゃないですか」


俺は家で提出物以外は一切勉強をしない。例えそれがテスト前だったとしてもだ。その代わり授業は真面目に聞き、提出物も完璧にやる。それで俺の勉強は完結するのである。なので授業の態度や提出物の評価はとても良く、テストも学年トップ5に入るか入らないかという点数を取っているので優等生であることには違いないだろう。

ちなみに学年トップの成績を収めているのはここにいる一姫である。


「優等生であるからって信頼されているわけじゃないよ。悲しいことに俺は対人関係はさっぱりだからな。それより早く本題に入ろうぜ」


「そうですね。

ですがその前にいただきますしましょうか。

昼休みもそれほど長いわけでは無いので食べながら話しましょう」


「それもそうだな」


俺は一姫の意見に同意し、持ってきていた一姫が作ってくれた弁当箱を袋から取り出し、蓋を開ける。


「おおっ!

美味しそうだな」


弁当の内容は唐揚げ、卵など、弁当の定番と言われるもので埋まっていた。


「最初のお弁当だから定番で攻めてみました!

これからは色々試行錯誤していく予定だから楽しみにしててね」


何故か一姫が楽しそうに言ってくる。

ここまで張り切られると逆に不安になってしまう。そのうち弁当でカツカレーとか作りそうだ。


「それでは食べましょうか」


「そうだな。

いただきます」


「はい、召し上がれ」


俺は手を合わせた後、弁当の具材を箸で摘み口に運ぶ。


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更新頻度が遅いのも理由だと思うんですが思ったほど伸びないので面白く無いのだろうか?

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