第3話【シャワー】

「ただいま」


「お邪魔します」


結局連れてきてしまった。

もうどうにでもなれ。


「先にシャワー浴びていいよ。

タオルは洗面所に入ったらわかると思うからそれ適当に使って。

着替えはあるよね?」


「ありがとう。

着替えはあるわ。

覗かないでよ」


「覗かねーよ!

さっさと行け!」


そのまま彼女を洗面所に押し込みタオルだけ貰ってリビングに行く。


「あーずぶ濡れだな」


体を拭き、着替えてソファーに座ってくつろぐ。

ちなみに俺の家はに2LDKと結構大きめのマンションだ。

本当はワンルームとかでもよかったんだが両親が「あんたの様子を見に来たりする時についでに泊まるかも知れないから大きめの家にしといた方がいいんじゃない?」と言い始めたのでこの広さになった。

そんなことを言った割にこの家に住んでから一年以上経っているが泊まりに来たのは一度きりだった。


「ふぅ〜。

さてどうしたものか」


ジャ、ジャー.........


買い物の荷物をキッチンに置いてからソファーに座り一息付く。

そして彼女のことについて考えようとした矢先に風呂場から微かにシャワーの音が聞こえてくる。


今考えるとやばい状況だよな。

我が校のアイドル一条さんが俺の家でシャワーを浴びてるんだぞ?

何かムラムラするというかいけない気持ちになってくるな。

勿論覗かないよ?

でも音だけ!

彼女が俺の家の風呂場でシャワーを浴びてるのを想像するぐらいなら誰も責められまい!


あー今めっちゃダラしない顔になってる自信あるわー。


ガラガラガラ


シャワーの音が止まり風呂場のドアが開く音がした。


あ、やべ!

上がってくる!

顔を引き締めなければ!


慌てて顔をバンバンと二回ほど叩き気を引き締める。


ガチャ


「シャワーありがとう。

次どうぞ」


「お、おう」


リビングの扉を開けて入ってきた彼女は薄いピンク色のパジャマを着ていた。

シャワーから上がったばかりだからか頬が少し赤くなっているしなんか色っぽい。


「どうしたの?」


「いや、な、なんでもないぞ?」


ボーッと見とれてしまっていた時に声をかけられ声が裏返ってしまった。


「そう?

それにしてもすごい部屋ね」


そう言って彼女は部屋の中を見回す。


俺の部屋はとにかく散らかっている!

服は畳まずその辺に放ったらかしにしてるし教科書やプリント類も散乱している!

あ、生ゴミはちゃんと捨ててます。

臭いのとか信じられないから。


「面目ない」


「いや、こっちこそごめんね。

急に押しかけたから」


「いや、誰か来たとしても掃除はしないぞ?」


「そこはしようよ!」


「まあ、細かいことはいいじゃないか。

じゃ、シャワー浴びてくるわ。

その辺で寛いでて。

飲み物とかは冷蔵庫の中勝手に漁ってくれ」


「うん」


そう言って着替えを持ち洗面所に歩いて行く。

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