第44話 自己崩壊

 つぎの患者は大山隆史35歳である。

渋沢吾郎:今日はどうしました?

大山隆史:自分が壊れていると感じています。

渋沢吾郎:それは一言で言えば、ストレスです。自分の思うとおりにいってないのでしょう。

大山隆史:そうです。なかなかうまくいきません。

渋沢吾郎:そういう時は癒しが必要です。癒しがなければどんどん壊れていきます。

大山隆史:その癒しの具体的なものは?

渋沢吾郎:好きなことをやる。異性と楽しむ。そういう空間が必要です。

大山隆史:好きなことをやるというのはわかりますが、異性と楽しむということはどういうことでしょう。

渋沢吾郎:異性とは、男と女とは、磁石で言えば、S極とN極の関係と同じです。不思議なことですが、異性といてまじあったときというのは癒しの効果があります。

大山隆史:それはどういうことでしょう。

渋沢吾郎:生物としての本能でしょう。まあ、自己崩壊に陥った時は、とにかく癒しが必要なんです。

大山隆史:癒しですか。

渋沢吾郎:しかし、癒しと休みは違います。休みは身体的なものですが、癒しは精神的なものです。肉体は精神で動いていますので、精神に癒しを与えることはとても重要です。

また、精神というものは構造はいくつもあるのです。表面が壊れてても、中味はしっかりしていることはありますので、自分が壊れているとわかっているのは、表面が壊れてても中味は自分を見つめているので、本当は正常なんです。表面は癒しで治るものなんです。もし、中味が壊れていたら、この世には存在できません。人は表面でしか見れない人がほとんどです。ですが、本当の自分はこうなんだというものを持っていれば、癒しで治るものなんです。

大山隆史:なるほど。自己崩壊の時は癒しですね。わかりました。

 と、大山隆史は頷いて帰った。

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