第32話 悠人くんと華さんの再会

「悠人!!」

息を切らした華さんが交番に入ってきた。

「あ、ママー!」

「悠人、大丈夫なの? どこに行ってたの。心配したのよ」

「えへへ、僕は遊びに行ってただけだよ」

遊びに…? どういうことだ?

「遊びに行ってたってどこに?」

「あ! ごめんなさい…。あのね、ままにだめって言われたのにお兄ちゃんのとこに行ったの」

「お兄ちゃん? 悠人くん、悠人くんはお兄ちゃんと遊んでたの」

お兄ちゃんと遊びに…もしかして本当に誘拐したのは松川くんだったのか?

「何を言ってるんですか! 私が誘拐したんですよ!」

今まで静かに座っていたお父様が声を荒げて話に入ってきた。怪しい。だが、今は悠人くんも華さんもいるんだ、冷静にならなくては。

「悠人くん、後でお話聞かせてね。松川さん、すみません。お話は署で伺いますね」

松川さんは明らかに動揺した様子でまた静かに座っていた。

「華さん、まだ何があったのかわかってはいませんが、悠人くんが見つかってよかったです。ただ悠人くんに殴られたような痣があって、署でお話を伺う前に病院に行ってもらうことになりました。お時間取らせてしまうのですが、付き添いよろしくお願いします」

「…はい。わかりました」

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