族長の娘は仕事を持ちかける
獣人の少女にマーシャは語り掛ける。
「あなたが昨日、紅の林檎亭に所属する冒険者になるって申し込みに来た獣人の村の族長の娘ですか?」
「そだよー。あたしはドロシー・レ・サイクロンライカン。武者修行で都会の方へと来たんだ」
獣人の少女ドロシーは陽気に答える。
ベリーショートの短髪に切りそろえられたこげ茶色の髪に合ったような、動きやすい様に纏まった活動的な服装に纏った軽装の鎧。その腰には短剣やシーフとしての活動に必要なツールがまとめられていた。
「シーフ的な立ち回りが得意なのか?」
そう聞くエアル。
「ああ、そだよー。後、あたしも、あんた達の噂は聞いているよ、エアル・ヒートフェンリルと、マーシャ・アクアウイング。」
「ああ、まさにそれが俺達だが…」
この時、エアルは喜びを感じると同時に動揺していた。
伝説の勇者への夢に確かに近づいている事を喜び、自分達の名前が昨日今日でアップルR-12に来たような冒険者にまですぐ知られるようになっていた事実に少なからぬ動揺を隠せなかった。
「あたしはこの飢えている人達がいる現状を何とかしたい。その為にあたしの方で仲間になってくれたあいつと一緒に挑戦したい依頼があるんだ。もちろん、サムソンとスズネも一緒にさ。」
そうドロシーに言われて、3人は紅の林檎亭に戻る事にした。
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