第189話 8月10日(水)レボ部の仕事その21-14

次は友子ちゃんの番である。友子ちゃんも認知症の90代の女性と話をした。

増田:お話いいですか?

患者:お話かい。なんお話がいいんじゃ。

増田:認知症って大変ですか?

患者:戦争は大変じゃったよ。

増田:なるほど。で、戦争はどのように大変でしたか?

患者:閻魔大王が仕事が多くて大変だったのじゃ。

増田:なんか話が微妙に違うような気がしますが。

患者:気のせいじゃろう。

増田:確かに戦争は閻魔大王の仕事は増えますよね。死人がたくさんできますからね。

患者:それで、私はバイトをやったけど大変じゃった。

増田:???。あの世でのバイトなんかできるわけないじゃないですか。

患者:バイトは看護婦さんのバイトじゃよ。

増田:なんか話が飛びますね。

患者:そうなんじゃよ。戦闘機が飛んでくるのじゃよ。

増田:なんか、ごちゃごちゃになっていますね。

患者:「ごちゃ」ってそんなにうまいお茶なのか?

増田:飲み者じゃないですよ。

患者:それぐらいは分かっておる。

増田:あの。私はからかわれているのでしょうか。

患者:彼買っている?

増田:からかっているです。

患者:そうか。彼氏がいるんじゃな。

増田:正式には彼氏じゃないんですが・・・。ライバルがいまして…。

患者:そうか。わしが紹介しよう。

増田:だから、私には彼氏にしたい人がいるって言ったじゃないですか。

患者:そうじゃったな。ちょっと耳が遠くてな。

増田:どのくらいですか?

患者:100メートルぐらいじゃよ。

増田:それって他人の耳なんじゃないですか?

患者:しかし、あんたもわしのボケによくついてくるね。感心したよ。

増田:わざとぼけているのですか?

患者:わざとじゃないぞよ。真剣にぼけているのだぞ。

増田:なんかわけがわからないですよ。

患者:真剣にボケるときの受け技は何じゃと思う?

増田:真剣白刃どりですか?

患者:ボケを白刃どりするのかい。これは面白い。

増田:これは私のボケでだったのですが…。

 と、友子ちゃんと患者の会話は続いた。

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