モテる男女は文句ばかり ~彼らは図書室で愚痴っています~
せんぽー
E.モテるのいいじゃーん?? A.面倒事が増えるんだけど。
「魔の季節がやってきたよ。僕らにとって」
「そうね。春は出会いの季節。入学後も。去年1ヶ月でミカは何人に告白されたの??」
「1週間に5人ぐらいのペースだったから……20人くらい。どうせ、レンもそのくらい告白されたんでしょ??」
「ええ。いい迷惑だったわ」
「そうだよね。恋の何がいいか、僕には分からない」
「私も。『モテるからいいね』なんてよく言われるけれど、1つもいいことなんてなかった」
「あんたたちはいいね。モテるのに全部フっちゃうなんて」
カウンターの奥で、仕事をひたすらこなすメガネの女性が静かな図書室で昼休みを過ごしていた。
「先生、遂にフラれたんですか。半年間付き合っていた彼と」
怜がそう言うと、
「そうよっ! フラれたのよ! しかも、彼、『ごめん、遠距離疲れた』って言ってきたのよ。絶対、向こうで女ができたのよ!! このままじゃ、職場恋愛突入よ」
「いいじゃないですか、職場恋愛」
ミカが首を傾げると、穹先生は鼻水が出ていたのでティッシュを取り、豪快に鼻をかんで、
「それがだめなの。高校ともなると、県内どこでも飛ばされるから、結婚しても単身赴任なの」
「それは申請とかしたら近くにしてもらえるんじゃないですか?? さすがに」
「そうかもしれないけれど、でも、同じ学校には居られないわよ」
穹先生は「結局イチャイチャもできないのよ。仕事もあってさ」と呟き、重い溜息をつき、再び書類に顔を合わせる。
カウンターの前に立つミカとレンはそんな残念な先生を見て、肩をすくめた。
「私たちには」「僕らには」
「「恋愛がいいとは思わないね」」
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