第30話『皆で夏祭りデーーース!』

俺たちはようやく部屋に入り

未だに離れない湯婆姉さんを剥がす

少し頬を膨らませたが仕方なく

今度は結城さんに抱きつく

全く・・・・この人のハグ癖は治ってないのな


「ところでなんであんた帰ってきたのよ?」


「ふっふっふ、聞いて驚け!今日は夏祭りだからそのために来たのでーす!」


「は?そのために来たの?」


「のんのん恋愛?私が大の祭り好きのはしってるでしょ?」


すでにルンルン気分だったのはそういうことか

確かにこの人祭りならば色んなところに行くからな

するとそうだ!と言って机を叩く湯婆姉さん


「どうせなら皆で行こう!恋愛の友達皆誘って♪」


「え?ま、まあ別にいいけど」


「決まりね!さあ真里奈ちゃんと雲母!浴衣選びに行くわよー!」


そう言って有無を言わさず連れ去られる結城さんと姉さん

大丈夫かな・・・・と思ったがさすがに大丈夫か

前みたいに拉致があったとしても

湯婆姉さんはあのスタイルゆえによくナンパされるが

腕っぷしは俺以上に強いのでなんとかなるだろう

午後七時ごろ、あまりにも帰ってこなかったので

仕方なく屋台を高杉と回ってると

肩を叩かれたので振り向く

そこには百華さんと佐藤さんが浴衣姿で立っていた

佐藤さんのほうは綿あめを持ってるが

百華さんは特に持ってる様子はない


「あなたたちも来てたのね勉強はかどってる?」


「あ、あぁ、そりゃもちろん。でも佐藤さんと一緒だなんて珍しいな」


「さっきそこで会ったんだよ。お互い彼氏いない同士仲良くってね?」


「あれ。そういえば佐藤さんの彼氏さんは?」


「めんどいから行かないって。つれないよねぇ」


四人で何気ない話をしていると

祭りで恒例の踊りが始まった

・・・・異常に騒がしいけど・・・・・まさか


「いえーい!皆盛り上がってるカーーーイ!!!」


「「「いえーーーーーーーいーーー!」」」


「今日も声出して盛り上がるぞーーー!」


「「おーーーーーー!!!」」


何故か湯婆姉さんが中心になって踊りが始まる

あの人何してんだよ・・・・・

そんなこと思ってると視界に結城さんと姉さんと雲雀さんが見える

俺たちはその場に駆けつける

結城さん綺麗だなぁ・・・・


「こんなとこにいたんですね三人とも」


「そうよ、姉さんったら踊りが始まった瞬間盛り上がっちゃって」


姉さんと高杉がさりげなく二人きりの世界に入り始める

俺も結城さんに駆け寄る


「結城さん・・・・・その、浴衣綺麗だね」


「え?あ、うん、そう・・・・かな?」


浴衣に慣れてないのか、恥ずかしそうにする

俺はそれに新鮮さを感じながら

こんな日が・・・・いつまでも続けばいいのにな・・・・


「結城さん・・・・じゃないな、真里奈、屋台回りにいこっか?」


「へ?あ、うん」


俺が名前呼びをして手を握ると

優しく真里奈は握り返してくれる

真里奈の耳は真っ赤だがいじらないことにした













「そう・・・・・いつまでも・・・・・何度でも・・・・」



ひとりのその呟きは

花火の音で消え去ったのだった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る