第274話

「ロード」

 俺はリメイラールの言葉に頷きながら言葉を紡ぐ。すると視界の端に青と赤の2種類のマークが表示された。俺は表示されましたと答えると


「青が構築で赤が解体ね。このブレスレッドは意思を汲んで動いてくれるから、慣れればアイテムの受け渡しも全部考えるだけで自動的にやってくれるよ?ためしに、さっき購入したコートを出してみましょう!」


頷きながらコートが出るようにと生活魔法を使っていた感覚で考えると空中から、先ほどリメイラールとショッピングセンターで購入した白いふわふわのコートが出現した。


「すごい!頭の中で考えて出来るようになるまで時間かかるのにすぐに出来るようになるなんてユウティーシアちゃんって本当に何者なの?」


「ふむ。やはりそれは魔術と言う技術に関係あるのかもしれないな。これは調べる価値が出てきたな……」

草薙は俺を見ながら不敵に笑っていた。




 俺は、実験と検証の為に草薙の部屋と言う名の実験室に入り浸ってからすでに2週間が経過していた。その間はリメイラールが食事を作ったりしたがマズすぎて食事を作れないメシマズと言うのが判明したり代わりに俺が家事スキルを発揮して料理を作ったり掃除をしたりしていた。


「草薙さんは、この世界に来てから長いんですか?」

 俺は、気になっていた事を聞く事にした。


「ふむ。長いかどうかと言えば、この世界の人間の誰よりも長生きだな。それよりも君は成人女性のように見えるが細胞年齢を見る限りでは12歳なのだな」


「えっと……皆がいないから聞きますけどそれが草薙さんの普段の話し方なんですか?」

 俺の言葉に草薙は頷いた。


「そうだな、俺の年齢はいくつだと思う?」


「70歳とリメイラールさんから聞きましたけど?」


「そうだな、この人格を形成してから70歳になるな」


「人格を形成してから?」


「ああ、そうだ。これについては後で説明しよう」


「あと人格形成に関してはアレルにもリメイラールにも話していない。ユウティーシア、この2週間の実験と検証、そして君が提示した魔術式これらは全て有用と判断出来、理論は完成したが……」

 そこで草薙が俺の方へ視線を向けてきた。


「ここからは、リメイラールとアレルの2人に内緒にしておく事にしよう。―――君は未来からきた人間だね?」

 俺に向けて語ったその口調は確信を持っているようであった。


「どうしてですか?」


「簡単な事だ。以前、君が生体認証したシステムは私が組んだ物なんだ。そして全ての実験センターを作らせたのも私だ。だから君の細胞音素に書き込まれてるシリアルナンバーを調べて分かった。君のシリアルナンバーは、未来の宇宙開発実験センターでナノマシンの医療ポットを利用した事で書き込まれた物だね、それも利用回数が普通では考えられない程だ」


「……」


「さて、まずは君の体の細胞音素に書き込まれていた情報から読み取るに君の細胞にかなりの無理をさせてるね?その為に、細胞寿命が極端に短くなっていたが私が修復させておいたからこれ以上、無理をしなければ80歳までは生きられるだろうだが……無理をすれば寿命を削る事になる」

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