第268話
「いいわよ」
リメイラールは、自動で移動する乗り物の中で俺へ視線を向けてきた。
「ここの町って何なんですか?」
「ここの町って言われてもね……うーん。分かりやすく言うとモデリングシティなのかな?」
「モデリングシティ?」
さらに訳が分からなくなった。困惑してる俺を見てリメイラールは、迷っているようだった。
「モデリングシティは、外宇宙開発機構が手がけていた星間航行コロニーの住人のストレスを測るために作られた言わばテストをする為の都市なの。でもね、全部ダメになっちゃて今ではここに住んでるのは私とアレルに時空の狭間から流れ着いた彼、草薙の3人だけなの」
「―――他の住人の方はどちらにいらっしゃるんですか?」
「セントラルにいるけど……そう長くはないでしょうね」
「それってどういう……」
「さあ、ついたわよ」
俺とリメイラールが乗る乗り物はゆっくり速度を落とすと一軒の家の前で停車した。リメイラールが降りたのを見て俺も自分の足で乗り物から降りる。俺たち2人が乗り物から降りると、浮遊状態の乗り物は浮遊解除してその場に停車した。
リメイラールの後をついていき、彼女が家の扉の横についてるパネルに手を当てると扉が横にスライドする。
「ここが私の家、入って入って」
リメイラールに言われるまま家の中に入っていくが部屋の中がとても散らかっていた。とても女の部屋とは思えない。よくこれで人を招待する気になったものだ。
「それではユウティーシアさんは行政から、ほとんど基礎教育を受けさせてもらってないようだからお姉さんが説明するね」
リメイラールが腕につけていた装飾品に手を当てると部屋の中の模様が一瞬で切り替わった。
「2次元映像でもいいんだけど、それだと分かりにくいと思うから3次元映像で説明しゃうね」
俺はその言葉に頷く。判断、考察材料が増える事は助かる。
「まず、この世界はアガルタと言います。次にこの都市の名前は宇宙開発実験センターの下請けの外宇宙開発機構が作りました。一応、都市名はあるんだけどね……。宇宙に進出するからって戦女神とかつけたんだよ?すごいネーミングセンスだよね?とりあえず都市の生はアフラニスカ。セントラルの人たちは、揶揄してこの都市の名前を戦女神アフラニスカって言ってたんだよ」
「はい、わかりました」
「うん、それじゃ次にね。今、この世界は急速に精神エネルギーに犯されていてユウティーシアさんが戦っていたような精神核を主軸とした次元侵食物が世界中にいっぱい溢れてるの。精神エネルギーが蔓延してるのは、進化学実験センターのせいなんだけどね……大陸ごと消滅して資料も残ってないから対処ができないの。
でも進化学実験センターが製造した精神エネルギーは世界を汚染してるから早く取り除かないと魔術しか使えない人間は皆死んじゃうの」
「進化学実験センターはどんな実験を?」
「詳しくは知らないけどね、ポータプルニュースサイトの話だと人間の意識が死んだ後どうなるのか?輪廻の輪と言うのは存在するのか?という実験をしていたみたい……これを見てみて」
リメイラールの言葉と同時に、一つの動画が流れ始めた。
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