第264話

「大丈夫だっ……ぐへっ」


「女の子の裸を着やすく見るものじゃ有りません」

 女性は空中から白いローブを取り出すと俺に差し出してきた。そういえば俺、体変化させたまま……と思ってみたら変化が解けていた。どうやらユウティーシアの魔力を根こそぎ使い切ったようだだった。つまり彼らに助けて貰えなければ俺は死んでいた!?


「そんなに顔を青くして大丈夫ですか?」

 俺は彼女の顔見て何度も頷く。見た事が無い顔……?どこかで見た記憶がある?どこでだ?俺はドラゴンのブレスで真っ裸になった体を差し出されたローブで隠す。そういえば、アイテムボックスに靴とか入れてた気が?靴を取り出そうとしたがアイテムボックスすら機能しない。一体、どうなってるんだ?


「はい、助けて頂きましてありがとうございます。私の名前はユウティーシアと言います」

 いつもクサナギと言っていたのに自然とユウティーシアの名前が出てしまった。


「助けられて良かったです。私の名前は、リメイラールと言います。そこにいる変態さんは自称勇者のアレル・ザルトです」

 リメイラール?え?どういうことだ?


「自称じゃねーし。神代移動兵器エアリアルブレードは勇者の遺伝子情報を持つ者しかつかえねーし。それに一応、俺ってば貴族だし!」

 

「……」

 いろいろな事で頭がパンクしそうだ。なんで、ここに教会が奉ってるリメイラールと同じ名前の女性がいるんだ?しかも神代移動兵器エアリアルブレードってコルク・ザルトがもってい!?まさか?そんなバカな?良く見るとアレルの顔にはコルクと似てる部分あるような気がしないでもない。


「ユウティーシアさん。あとですね、あそこで貴女の裸を見て顔真っ赤にしてる人がですね……ちょっと!紹介するんですからこっちに来てください!童貞のむっつりスケベの自称最強の大魔術師さん!」

 リメイラールの言葉にもう一人の男が近づいてきて顔に掛けられていたローブを取る、その顔を見て俺は凍りついた。


「こちらが異世界から来られた自称最強の大魔術師の草薙(くさなぎ)雄哉(ゆうや)さんです」

 その顔は、どこから見ても名前も体格も……。


「うっせえ!自称聖女の痴女リメイラールに言われたくねー」

 ―――声も地球に居た高校生時代の俺と瓜二つだった。


「それでどうしてユウティーシアさんはこんな危険な所にいたの?」

 リメイラールが不思議そうな顔をして尋ねてくる。


「えっと仕事を依頼されて来たら「ひっどーい!魔術もまだ使えない子供にそんな仕事をさせるなんてひどいよ!皆もそう思うよね?ね?」」

 俺の言葉の途中でリメイラールが俺を抱き寄せて頭を撫でながら大変だったねーと頬ずりしてきているがすぐにアレルに引き剥がされていた。


「まったく美少女だと見たら、どこでも発情しやがってこの恥女が!」

 アレルが何もない空間から縄を取り出してリメイラールの両手を縛っている。


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