第224話

ふむ。なんか色々と話が交差してるようだが、かなり俺の認知度も上がってきたようだ。さて……


「私の名前は、クサナギです。リメイラール様(教会)より信託(拉致)を受けてこの地へ馳せ参じましたこの世界の一人間に過ぎません」


「そ、そんな……」


声がした方へ視線を向けるとやはり思ったとおり魔道ベル所謂、嘘発見器を見て驚きの表情をした聖女アリアがいた。きっと魔道ベルみたいな物を持ってくるとは予想していたが本当に持ってくるとはな……。


なにはともあれ言葉を選んでおいてよかった。これで魔道ベルが鳴るようだったらかなりやばかった。


「教会と敵対する?何を根拠にそのように仰られるのですか?私は神兵の襲撃で家々を失い怪我をし病に苦しむ方とこの国を守るために戦ってくれてる騎士の方々へ治療を施してるだけに過ぎません。


これが悪だと言う事でしたら教会の意にそぐわないものなのでしたら教会とは宗教とは一体、何なのでしょう?リメイラール神様、そして教会や宗教というのは困った方々の自立を促進させ時には利害を求めずに手を差し伸べる事こそが本来の姿ではないのですか?」


「し、信じられませんわ」


アリアは一人呟きながらも何度も俺と魔道ベルとの間で視線を行き来させてるが魔道ベルが鳴ることはない。何故なら俺は別に教会などどうなろうと知ったことじゃないしこの中世の時代では必要悪だと思ってるからだ。ただ、これをやってるのは聖女アリアと勇者コルクに仕返しをしたいだけに過ぎないそれだけなのだ。


周囲の人々もアリアが魔道ベルを持って俺の発言の信憑性を確認していたのに気がついていく。


「やはり聖女クサナギ様の言ってることは全部本当だったんだ」

「俺は前から信じてたぜ!」

「聖女アリア様は自分が魔力が尽きて魔法が使えないからって妬んで聖女クサナギ様にいちゃもんをつけにきたんだよ」

「聖女アリア様は、時々指揮官なのに休んでるよな?魔法もずっと使ってるわけじゃないのに」

「そういえばそうだよな」

「それに比べて聖女クサナギ様は酷い怪我をおった人の治療をしてくれるよな」

「椅子に座って休めて指揮だけしてる聖女アリア様と比べたら一睡もせずに治療魔術を使ってる聖女クサナギ様はすばらしい方だな!」

「あの姿こそ聖女様だな!」


なんか無茶苦茶評価してもらってるんだが……。とても照れくさい。


「うるさい!そんなのは詭弁だ!教会だって魔法師が必死に回復をしているし対価を受け取るのは当然だろう?」


「その対価は、”全て”困ってる方へ配分されているのですか?」


「あたりま「コルク待ちなさい!」


―――リィイイイイイン


途中で俺の願いに気がついた聖女アリアが勇者コルクの言葉を止めようとしたが間に合わず魔道ベルの音は当たりに響き渡った。そして俺はこの戦いの勝ちとも言える言質が取れた事で内心、ほっとため息をついた。


そして教会関係者の嘘の発言によりざわざわとした喧騒があたりに広がっていく。


「聖女クサナギ様!」

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