第110話

俺は2つあるカウンターの一つに近づき窓口に座っていた20代半ばの女性に声をかけた。

女性は暇だったのか俺の声で目を覚ますとすぐにこちらを見てきた。


「あ、はっ……はい!なんでしょうか?今は討伐の依頼も雑務系の仕事ももまったくありません。申し訳ありません」


「い、いえ……」


おい、どうなってんの?依頼も雑務系の仕事も無いとか相当やばいんじゃないのか?

あれ?これって……かなりやばいんじゃ……。


「あの冒険者登録とかって出来ますか?身分証明賞を無くしてしまったので……」


「ああ、そういう事ですか?冒険者の身分を作りたいんですね。それでは市民「いえ、そういえば落とした場所を思い出しました」」


「そうですか」


シュンという音が聞こえてくるくらいに意気消沈したお姉さんを見ながらギルドの中を見ていく。

ふむー。よく分からないな。

この世界のギルドの立ち位置が今一分からない。


「お姉さん、じつは小さい頃に冒険者の身分証明賞を無くしてしまったのでギルドととかの情報をお伺いしたいのですがいいでしょうか?」


俺は袋の中から金貨を1枚、カウンターの上に置く。

そうするとお姉さんが金貨をもらってくれた。


「何でも聞いてください!スリーサイズ以外なら教えますよ?」


「あっ……はい……」



1時間後、俺はギルドから出て近くの飯屋に寄っていた。

その飯屋は水すら銀貨1枚を取るすばらしいサービスをしてくれた。

席に座りながらさっき冒険者ギルドでお姉さんに書いてもらった記事を読んでいく。


・冒険者ギルドは独立採算性であり所属している国に帰属する。(つまり国が運営管理の決定権を保有している。超法規的な力を持つような国を跨ぐ組織ではないってこと)


・冒険者ギルドは、迷宮と町や町の外で手に入れた素材などは冒険者の身分証を呈示しない限り買取はしない。(つまり俺みたいな身分不確定な人間からは物を買いませんよって意味)


・冒険者ギルドでの登録有効なのは、登録した国内でのみ有効。(つまりは国を移動したらその都度、冒険者の身分証を取らないといけない)


・冒険者ギルドに所属してるギルドメンバーの身分は保証するが発行には必ず市民権が必要。無くした場合には総督府、もしくはそれに準ずる組織で発行する事。


・冒険者ギルドは冒険者同士の諍いには基本不干渉。(つまり自己責任)


・冒険者ギルドでのランクはSからFまでありそれぞれ受けられる仕事の内容が異なる(ここは仕事が無かったようだが……)


・冒険者ギルドで期限付きの仕事を受領した場合には、期限が切れた場合に達成金の1割のお金を収めるペナルティが存在する。


「ふう……やっぱり市民権が必要か。俺の本来の名前が使えればいいんだが……って?どうやって名前を判別してるんだ?」


魔法的な神秘的な何かできっと判別してるんだろうな……。

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