第41話
「ユーヤって、やっぱりどこかの良いお嬢様だったりするのか?」
本人は否定していたがユークリッドにはどうしてもユーヤが平民の娘には見えないのだ。
食べ方が上品すぎる。
普通の平民の食べ方ではないのだ。
「いいえ、私は前に言った通りにどこにでもいる一般の平民の普通の女の子ですよ?」
食べる手を止めて微笑みながらユークリッドの質問に答えを返してるユーヤを見てユークリッドは、どうも嘘をついてるようにしか思えないのだった。それでも、詰問した時に魔道器はユーヤの言葉を全て真実だと証明していた。
「本当に分からないな」
「大丈夫です。ユークリッド、それは普通の事です」
ユウティーシアは、ユークリッドの争点をずらす事でユークリッドにそれ以上深く考えさせないように誘導する。そしてしばらく考えたふりをした後に
「実はでね。私、考えたんですけど食堂で働こうと思うのです」
冒険者で、逃亡資金が稼げないなら変わりに仕事を探さないといけないけど異世界の事情には疎い。
そんな自分が働ける所と行ったら、料理が得意な事を生かして食堂で働くくらいしか思いつかないのだ。
「ダメだ!」
そんなユウティーシアの言葉に対して苛立つ気持ちを抑える事が出来ずユークリッドは思わず声を荒げてしまっていた。詰問の時以外は、そんな声を聞いた事がないユウティーシアは思わず体を震わせていた。その事に気が付いたユークリッドは、椅子に座りなおすと口を開いた。
「違うんだ……そうじゃないんだ。ユーヤの頑張りたい気持ちは分かる。
だが、ユーヤはまだ慣れていないだろう?それなのにいきなり仕事をするのは良くないと思ってだな」
ユークリッドの話を聞いて、たしかに自分はそんなに市民の生活内容や事情をよく知らないと思い納得した。でもこのままじゃいけないのも確かか……。
「それでは慣れたらお仕事しますね」
「ああ……」
ユウティーシアの言葉に、頷きながらもユークリッドは胸に湧き上がるもやもやを消し去る事が出来なかった。
30分後、体を自分で拭いたユーティシアは市場で購入してきた寝巻に袖を通していた。
ユークリッドの家にはベットが一つしかない。
つまり今日からは一つのベットで2人で寝る事になるのだこれはある意味、修学旅行に近い物ではないだろうか?
寝巻に着替えたユウティーシアは、寝室から出るといまだにリビングの椅子に座っているユークリッドの後ろに立った。
「もう遅いぞ、着替えて早くないと明日また途中で寝るぞ?」
まだユウティーシアが着替えてないと思っていたユークリッドは、ユウティーシアが注いだ紅茶に口をつけていた。
いつまで経っても返事をしないユウティーシアを気になって後ろを振り向くとそこにはすでに寝巻に着替えたユウティーシアが立っていた。
その姿を見てユークリッドは固まった。
「どうですか!ユークリッド、似合ってますか?」
光沢のある絹で編まれたパジャマは、ユウティーシアの魅力を最大限に引き出していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます