第18話

魔物「ギャ……ギャィ……」カチン コチン


勇者「……ん?」


勇者「生きてる……?」


魔法使い「……あ」 魔物「……」カチン コチン


僧侶「……あれは」 魔物「……」カッキーン


森林王「吐いた炎ごと凍ってやがる……まさか!」


氷王女「ふむ……手加減してやったつもりだったのだが……」ヒュゴオオオ


森林王「ぐ……」


氷王女「形勢逆転、かのう?」ニヤリ



氷王女(まだ本調子ではない……が)ヒュゴゴゴゴ


魔物「ゲギャ、グ……」 「ギャギャ、ギ……」カチン コチン


氷王女「この程度でも十分のようじゃな」パチン


魔物「グガァッ!」ブォン


氷王女「触れるなっ!下郎が!」ヒュン  スパッ


魔物「グ……ゴ……」ドサ


森林王「ぐぬぬ、どこにそんな力が……」



魔法使い「力が戻ったんだね!」


僧侶「……さむ」


勇者「肝が冷えたぜ、今回ばかりは……」


氷王女「……感謝するぞ、勇者」


勇者「ん?」


氷王女「……ふん、なんでもないわいっ」



氷王女「今度は、わらわが守る番じゃ!」ヒュウウウ  シパパパパン


森林王「……このまま、黙ってやられるわけにはいかん!」ブンッ


氷女王「むっ……!」


勇者「くそ、魔法が解けちまったか……」


氷王女「ちょうど退屈しておったところじゃ。かかってこい」


森林王「ぬおりゃあっ!」


ボゴオン


魔法使い「わわっ!す、すごい振動……」


グラグラグラ


氷王女「……どうした?わらわには傷一つ付いておらんぞ?」


僧侶「……無傷」


森林王「く……」


氷王女「ほう?まだ何か出来るか」


森林王「……」


氷王女「む、どうしたというのだ。武器を捨てるとは」


森林王「……もはや戦う意味はない」


森林王「自分の力を過信し、相手を見下しながら戦った」


森林王「その時点で俺様は負けていたのだ……」


森林王「さぁ、殺すがいい。これ以上恥は晒さぬ」



氷王女「……くっくっく、あーっはっはっは!」


森林王「な、なにがおかしい!」


氷王女「くっく……いや、本当に頭の中まで筋肉が詰まってるのじゃな、貴様は」


森林王「ぐっ……今更俺を侮辱してなにがしたい……」


氷王女「殺せと言うものなど、死んでいるも同じ。それを改めて殺して何の意味がある?」


氷王女「死を認めたならば、無様に生きるがよい」


氷王女「それでも死にたくなったら、勝手に死ねい。わらわは知らん」



森林王「……敵に情けを掛けられる日がまさか来ようとは」


氷王女「これでもまだ小娘と言うか?」


森林王「……感謝するぞ。氷の王よ」


氷王女「ふん……感謝される筋合いなどないわ、戯けが」




森林王「ふむ、火山へ向かっているのか……」


森林王「しかし、魔王を倒そうとはのう。つくづく面白い奴らじゃ」


勇者「魔王のこと、知ってるのか?」


森林王「一応、な。火山に向かうのが間違いではないと教えられる程度には」


魔法使い「そんな簡単に教えていいの?」


森林王「……われら魔族の全てを魔王が統治しておるわけではない」


森林王「魔王は、魔族の王で最も上位の『存在』であるだけだ」


森林王「むしろ、魔王に直接指示を仰いでいる魔物など一握りだろう」


森林王「ワシも魔王の姿すら見たことはないからな」


勇者(……思った以上に複雑みたいだな、魔族ってやつも)



勇者「そういえば、魔族の王ってどのぐらいいるんだ?」


森林王「むぅ、難しい質問だな……それこそ絶大な力を持つものから単なる自称の弱小まで、様々だ」


魔法使い「なるほどねー」


僧侶「……」ジー


魔法使い「どうしたの?僧侶ちゃ……ん」


氷幼女「な、なんじゃ?わらわの顔に……まさかっ!?」




氷幼女「体が元に戻っておる……」わなわな

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