第16話
魔法使い「勇者、勇者!」
勇者「……ん、魔法使いか」
魔法使い「早く起きなって!」
勇者「やべ、俺寝てたのか……ってうおわ!?」
魔物ども「ギャギャギャギャギャギャイイ」
勇者「め、めっちゃ囲まれてる……」
僧侶「……勇者、起きた?……」
魔法使い「ぼさっとしてないで!来るよ!」
勇者「お、おう!」
氷幼女「……何か引っかかるの」
勇者「何がだ?」
氷幼女「魔物どもの動きが統率されすぎとる」
勇者「……と言うと」
ズーン ズーン
勇者「な……今度はなんだ?」
魔法使い「凄く大きな足音……」
僧侶「……くる」
バキ バキバキィ
森林王「……よう、氷の小娘。久しぶりじゃな」
勇者(なんじゃこいつ……鳥人間の3、4倍はあるぞ……でか……)
氷幼女「やはり貴様か、森林原人め。野蛮なやり方は変わらぬのう」
森林王「がーっはっはっは。口と姿が噛み合っておらんぞ?おチビさんよぉ」
勇者「……知り合いか?」
氷幼女「……やつも魔族の王の一人じゃ。こいつのことを忘れておるとは、わらわも耄碌したかのう」
森林王「どうやら、人間に味方したというのは本当だったようじゃな」
氷幼女「味方などしておらん。わらわは、わらわのやりたいようにやっておるだけじゃ」
森林王「がっはっは!相変わらず言い訳が達者な小娘だこと」ズシーン バチチッ
森林王「むぅ?なんじゃこれは……邪魔じゃのう」ブン
バリーン
僧侶「なっ……!」
勇者(多重詠唱の防御壁を腕の一振りで……まじもんの化け物だな、こいつ)
森林王「貴様が氷の女王をなびかせた男か……どんな強者かと思えば」
森林王「ただの優男ではないか……さては、色で落としたのか?」
氷幼女「な、なにをバカなことをっ!」
森林王「……まぁ、そんなことはどうでもいいか」ガシ
氷幼女「ぬっ、しまっ……」
魔法使い「お前っ!」ジャキン
魔物「ギャイイイッ!」
魔法使い「っ!」
僧侶「……っ」スッ
勇者(魔物どもが邪魔で近づけねぇ……!)
氷幼女「……うぐぅ」ミシミシ
森林王「どうした小娘、暑くて力が出んか?」
氷幼女「……ふん、貴様ほど野蛮ではないだけだ、森猿め」
森林王「今の自分の状況が分かっているのか……?」ギリギリ
氷幼女「く……ふ、はぁ……」
森林王「哀れな女よ。魔族の王として生きればもっと栄華もあったものを」
氷幼女「く……ふは、ふはははは!」
森林王「ついに気が狂ったか?小娘」
氷幼女「気が狂っているのは貴様のほうだ、類人猿」
氷幼女「たとえ魔族で生まれても、人間に生まれてもっ……」
氷幼女「わらわはわらわとして生きるだけだ!貴様らには分かるまい!」
森林王「……ふん、戯言を」
森林王「遺言はそれだけか?潰れろ……っ!」
ふに ふに
氷幼女「ふ……く、くすぐったいぞよ?」
森林王「な、なんだとっ……どういうことだ!」
魔法使い「やったの?勇者!」
勇者「あ、あぁ……間一髪、な」
氷幼女「……ふんっ!汚い手を離さんか!」バシィ
森林王「ぐ、うっ!?」ズザーッ
氷幼女「ていやぁ!」ジャララララ ヒュパン
森林王「ぐぬ……俺様の体に、その程度の武器で傷を……」
森林王(何かがおかしい……ここは引くか)バッ
氷幼女「ま、まていっ!」 魔物「グゲゲゲ!」 「ちぃっ!」ズバン
魔法使い「にがすかっ!」 魔物「ウケケケケ!」 「く……どけぇ!」ズドン
僧侶「……追う」 魔物「ギギギギィ!」 「……邪魔」スパン
勇者(随分と統率された動きだな……こりゃ手ごわそうだ)
森林王「どういうことだ……急に氷の小娘が強くなりおったわ」
森林王「……ぬおりゃぁ!」
ズドン
森林王「……力が入らないわけではないようじゃが……分からぬ」
氷幼女「ぬぅん!」ジャラララ グルグル
氷幼女「まとめて吹きとべい!」ブオン
魔法使い「ナイストス!……押しつぶせ!水流!」ザパアアアン
魔物ども「グギョギョゲギャゴギョォ」プチッ
僧侶「……片付いた」
氷幼女「しかし、完全に見失ったのう……」
勇者「……困ったな」
勇者「俺のあの魔法、どのぐらいの距離まで有効なのか分からないんだ……」
勇者「もしかしたら、解けてしまっているかもしれない」
魔法使い「逃げたほうが、いい感じ?」
氷幼女「それは無理じゃろう……この森の全てが奴の目のようなものじゃ」
森林王「ふむ……全滅、か」
森林王「あれでも強い魔物を選んでいたんだがな……小娘が手を貸すのは伊達ではないと言うわけか」
森林王「探し出したら、その場で殺して構わんぞ」
魔物「ギャギャゲギャイ!」バサ バサ
森林王(この魔法……どうやったら解けるのだ……?)
魔法使い「じゃぁ……どうするの?」
氷幼女「……倒すしかなかろう、彼奴を」
僧侶「……出来る?」
魔法使い「勇者の魔法が解けてなければ、簡単なんだけどなぁ……」
氷幼女「無理でもやらんとならん。死にたくなければ、な」
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