第3話

勇者(強化呪文……昔どれだけ練習したことか)


勇者(転職も考えたが、神官に怒られちゃったからなぁ)


僧侶「……勇者?」


魔法使い「おーい、早く来ないとおいてっちゃうぞー」


勇者「ん、あ、あぁ……」


勇者(まぁ、これで魔法使いの負担も減るしいい、のかな……?)


勇者「あ、毒沼解除魔法」シュワー


魔法使い「洞窟の中は意外と魔物が少ないね」


僧侶「……なぜ?」


勇者「まぁ、ここの洞窟はかなりトラップ多いからな」


勇者「大方飛べない魔物は外に配置されてんじゃないかな。解除魔法」シュー


勇者(つまり、頭のいいトップがいるってことか……ああ、めんどくさい)




勇者「さて、ここを抜ければ王宮は目の前なのだが」


魔法使い「さっきより数がいるね……しかも魔術師も何体かいる」


僧侶「……苦戦」


勇者「まぁ、デカブツどもは魔法使いが吹き飛ばすとして」


勇者「魔術師を生かしたままだと、魔法跳ね返される危険があるなぁ」


魔法使い「昔それで死にかけたもんね、勇者が」


勇者「まぁ、お前に盾にされてなきゃ生きてたんだがな」


魔法使い「あ、あれはっ……ボクも咄嗟で悪気は……っ!」


勇者「まぁ、同じようなバカは俺もやらんさ……沈黙魔法」ヒュイーン


僧侶(……!)


勇者「よし……これで、しばらく相手は呪文を唱えられんはずだ」


勇者「魔術師どもに異変を気付かれるとまずいから、さっさとやってくれ」


魔法使い「おーけー、勇者。……大地の怒りっ!」ドガガーン


魔術師「……!!!」パクパク


魔物「グゲゴアアアアアアアアア!!」グシャ グシャ


僧侶(……沈黙魔法……上級魔法のはず)


勇者「相変わらず容赦ないな……っていうか」


勇者「敵がまだいるかもしれないのに、あんな大音量の魔法使うんじゃねぇ!」ポコ


魔法使い「あうう……だって、洞窟の中は大地の力を受けれるから、魔力消費が少なくて済むんだよー」


勇者「だからって……」 ガヤ ガヤ ガヤ


僧侶「……くる」


勇者「だぁ、くっそお……さっさと洞窟出るぞ!閉じ込められでもしたらシャレにならん」




勇者「……洞窟を抜けたら、魔物でした」


魔法使い「入り口の三倍近くいる、かな?」


僧侶「……魔術師も、いる」


勇者「……こりゃまた大歓迎なこった」




勇者「とりあえず俺が魔法に対する防壁は張るから、後は各自頑張ってくれ」


魔法使い「おーけーおーけー。まぁ、いつも通りだね」


僧侶「……勇者は、大丈夫?」


勇者「ん?俺の心配してくれてんの?」


勇者「魔法使いはしてくれないから、嬉しいねー」


魔法使い(ボクだって心配ぐらいしてるし……)


勇者「だいじょぶだいじょぶ。いつもこんなもんだから」


魔術師「……ゲギャギャ」シュイーン


勇者「くるぞっ!防壁呪文っ!」キキューン


魔法使い「よし!暴れるぞぉっ!」ゴワァッ


僧侶「……倒す」キーン


ザシュッ ドゴッ ズガァン


勇者「おーおー、派手にやってるねぇ」


魔物「ゲヒャグギョホォ」


勇者「で、やっぱこっちに来ますよねー」




勇者「よーし、かかってこいやー(棒)」


魔物「ギャギャァッ!」


勇者「……くぅっ!」ガギィン


勇者「なんとか受け止めっ……」


魔物「グゲゴヒャ!」ブオン


勇者「あらら、後ろいたの?」グチャッ




僧侶「……勇者っ!」ダッ


魔物「グヒヒヒ」


僧侶「……どけっ!」ズバッ


魔法使い「あらー、やっぱやられたかー」カキン


魔法使い「まぁ、魔術師はもう全部倒したし、防壁はいいか」ブォン ザシュ


魔物「グギョォォ……」ドサ


魔法使い「ふぅ、あらかた片付いてきたかな」ザグッ


ドズーン  ドズーン


魔法使い「なんだ、このデカイ足音……」


僧侶「……勇者っ!治癒呪文!」ポワアア


勇者「ふぅ……生き返るなぁ、まったく」


僧侶「……無事?」


勇者「なに、そう簡単に死にはしないさ……っ」


魔法使い「おい、勇者っ!あうっ」ズザー


勇者「魔法使いっ!って、なんだこいつ!?」


鳥人間「貴様が、勇者か……」


勇者「うぉ!しゃべりやがった!」


僧侶「……しゃべる、魔物」


鳥人間「ふん、我ぐらい高等な魔物なら当然のことだ」


鳥人間(これが勇者……?横の女よりもちからが弱いではないか)


鳥人間(こんな雑魚に負けるとは……やはり、あの魚人王が弱すぎただけか)


鳥人間「さて、おしゃべりはこれぐらいにしておくか」


鳥人間「弱くても、勇者は勇者。魔王様に仇名す者を生かしておくわけにはいかん」バサッ


鳥人間「死ねぇっ!勇者!」ガッギィン


鳥人間「むぅ!?」


魔法使い「ボクを忘れちゃ困るなぁ……あれぐらいじゃ倒れないよ?」


鳥人間(バカな……相当なダメージだったはずだが)


僧侶「……隙だらけ」ヒュバッ


鳥人間「ぐっ!小癪なっ!」バサッ


僧侶「……うっ」ズザッ


魔法使い「おっと、今度はこっちだよ!」ブオン


鳥人間「ぬぐぅっ!?」ズドン


鳥人間「効かぬわぁっ!」バシーン


魔法使い「あうぁっ」ドサッ


勇者「……攻撃強化かけても耐えるか。今までのと格が違うな、流石に」




鳥人間「さて、次は貴様……はっ!」バッ


僧侶「……避けたか」キュイーン


鳥人間(な、なぜだ……なぜ立ち上がれる……)


魔法使い「空はボクに任せてっ!……うなれ、暴風!」ビュゴワアア


鳥人間「む、ぐおわああああ」バリバリ  ドサッ


鳥人間(く、羽がやられたか……)


鳥人間(しかし、なんだこいつら。不死身なのか……?)


鳥人間「ぐっ……かくなる上は!」ダダダッ


魔法使い「あ、逃げたっ!」


勇者「まずいな、あっちは町のほうだ」


魔法使い「逃がすかっ!……からみつけ、木々よっ!」ポフ


勇者「……」


僧侶「……」


魔法使い「魔力切れ、みたい」


勇者「仕方ない、追うぞ!」




貴族「……化け物は引いたか?」


兵士A「はい、なにやら慌しく去っていきました」


貴族「ぐぐぐ……魔王が復活したというのは本当だったのか……」


兵士B「報告します!先ほどの化け物が戻ってきました!」


貴族「なんだと!?攻撃をやめたわけではなかったのか!?」


貴族「く……民衆の避難を最優先させろ!奴が戻ってくるまでに急ぐのだ!」


兵士全員「はっ!」


貴族「化け物め……ここに何があるというのだ……」




鳥人間「この私がこのような姑息な手を使うことになるとはな……」


鳥人間「だが、ここで勇者をしとめねば……」ズズン


兵士A「とまれーっ!化け物め!」


鳥人間「ふん……寄せ集めどもめ」


魔法使い「まーーーてーーーー!!」ダダダダ


僧侶「……追いついた」


鳥人間「人間にしては早かったな」


鳥人間(勇者の姿がない……遠距離からの奇襲狙いか?)


勇者「……はぁ……はぁ……二人、とも、はや、す、ぎ……」




鳥人間「……」ガシッ


兵士「ひ、いいぃ」ガクガク


魔法使い「あっ!」


僧侶「……く」


鳥人間「私が言いたいことは、伝わっているな?」ギリギリ


兵士「ぐ、ぐふぅぅ……」


魔法使い「……この、卑怯者っ!」ガシャン ガシッ


僧侶「……ダメ」


魔法使い「……ぐぅ」


勇者「……はぁ……あとどんぐらいだっけ……」

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