第3話理由
「何故駒國高校に来たのかか…昔話をしよう」
それは中学3年生の春だった。皆が進路を決めるなか俺は進路を決めれずにいた。決める気が起きなかった。何故なら…親父の会社の失敗である。その影響により会社は倒産。それにより借金返済に追われていた。しかし親父の友人、親戚の助けを借りて借金は返済出来たものの以前と比べ周りの奴らより質素な暮らしを強いられた。しかしこれだけで進路を決める気がなるなる訳ではない。真意は母の病死である。母は癌に侵されており発見時には至る所に転移していた。そのせいである。
「冬馬、行きたい高校は見つかったか?」
「…まだです…」
「そうか…もう見つけて置かないと困るからな」
先生にそう言われる。俺は頷くことしか出来なかった。
「ただいま」
「おかえり。どうだ学校は?」
「つまらない」
「つまらないだぁ?少しぐらい楽しめやぁ」
「無理だよ…」
家に変えれば似たようなやりとり。しかし今日は少し違った。
「それよりまぁだ進路決まってないのか?」
「うん…」
「そうか…んまぁ、進路を決めるのは難しいからなぁ。まぁお節介かもしれんがここに行ってみたらどうだ?ここならやりたい道をサポートしてくれるぞ。まぁ東京じゃなくて神奈川だがな。安心しろ!行きたい高校選べ!そしたら俺が全力でサポートしてやるからよ!」
「ありがとうございます」
当時の俺は元気がなかったな。
***
「ただいま」
「おかえり、どうした?進路が決まんないんだってな。先生から聞いたぞ」
「どうだっていいでしょ…」
「金で悩んでるのか?」
「……」
返事が出来なかったんだ。
「その顔は当たりだな」
「心配するな。金なら心配ない。待ってろ」
そう言って親父はタンスから手帳を持ってきた。
「これがあるから大丈夫だ。そうだ、駒國高校に行け。神奈川にあるんだけどそこに知り合いがいる。そこなら面倒見てくれるだろう」
「でも…」
「いいから行けって。お前は子どもだろ?親に迷惑かけろ。頼れって!」
「ありがとう…」
「なぁにしょげてんだ。元気だせって」
**
「229、229。合った!」
「よっしゃぁぁぁぁ。やったな!冬馬!」
「親父、俺よりはしゃぐなって。他の奴らに迷惑だろ」
「そうだな、悪い悪い」
「4月からお前も寮生活か。悲しくなるな」
「親父、ありがとう」
「いきなりどうした?よし今日は寿司でも食いにいくか!」
**
「こうして俺は駒國高校に入学したんだ」
「そうなんだ。そんなことがあったんだ…お母さんいないんだね…」
「まぁな…」
「悲しいでしょ?そうだ!手繋ごう!」
手を繋ごうと平然に言う宇宙。
「天陽、い、いきなりどうした!? お前俺男だぞ!? 誰かに見られたらどうするんだ!?」
「別にいいよ?誤解解けばいいだけだし」
「誤解解く前提かよ!」
「てかもう暗くなるしまた明日な」
「連絡先交換したし寮でも出来るよ」
「そうだな。じゃまた今度」
「じゃあね」
「遅いぞ!冬馬!」
「悪かったって。田沼」
こいつは
「てかお前女子と帰りやがったな!裏切り者!」
「お前、なんでそれを!」
まさか、見られてるなんて…
「……え?ホントウダッタノ?」
「は?」
「いや俺冗談で言ったつもりなのにお前…本当に裏切り者だったとは…で誰と帰ったんだ!?」
「お前なぁ…答えなくていいだろ?」
「いぃや、駄目だ。答えて貰おう。答えないとお前の分の夕食食べるからな!」
「よせよせその変にしとけよ」
間から入ってきたのは
「駄目だ!こいつをはかすぞ!」
「まぁ面白そうだから賛成」
おい。
「ったく、分かったよ。天陽宇宙だよ」
「「はぁ〜?ちょ、おままじかよ!?あの天陽と?連絡先交換したのか!付き合ってるのか!?」」
「凄い息ピッタリだな。付き合ってはない。連絡先は交換したけど」
「「ざっけんな!あの人気の高い天陽と連絡先交換しやがって」」
「天陽からだよ。てかフレンドリーなんだから頼めばしてもらえると思うよ」
「ったく、まぁ夕食食って寝ようぜ」
「賛成」
「切り替え早いな。よしたくさん食うか」
そして天陽から電話が来た。
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