学校の仕組み
友達作りを諦めたオレは自分の席で静かに座っていた。
何も言わず机とにらめっこ。
「は~い、みんな。席に着いて~」
チャイムが鳴り、四葉が教室へと入ってきて、教卓の前に立つ。
「私が3年間みんなの担任を務めることになる、
四葉が教室をぐるっと見渡し生徒たちの顔を確認する。
「今からホームルームを始めるんだけど、その前にみんなには自己紹介をしてもらおうかな~。まだお互いの名前も知らないだろうからね」
自己紹介。第一印象が決まる大事な戦い。友達作りに失敗したオレからしてみれば、名誉挽回、千載一遇のチャンス。
「じゃあまずはきみからかな」
廊下側の前の列の男子生徒を指差す四葉。
「はい」
返事をしたのはいかにも好青年といった風貌の男、星宗介。
「俺は
特に文句のつけようもない普通の自己紹介。
「じゃあ次は、星くんの横の席の人」
そう言ってオレの前の席のガリ勉風男子を指差す。
「僕は天羽仁です。これからよろしく」
少し不愛想な気もするが、普通の自己紹介だった。
「次は後ろの列の廊下側のきみ」
「七瀬美麗。よろしく」
かなり淡白な短くまとめられた自己紹介だった。
「後ろの列の真ん中の席のきみ」
「私は白銀織姫っていいます。たくさんの人と友達になって仲良くするのが目標です。これからよろしくねっ」
仲良くしてくださいオーラ満点の自己紹介だった。
「そして最後にきみ」
急に緊張してきた。
無難なほうがいいのか?それとも一笑いとったほうがいいのか?
これまでの経歴とかを話そうにも特に話すようなことはないし。
自己紹介はなんて言うのが正解なんだ?
緊張しながら椅子を引き立ち上がる。
ふぅー。とりあえず深呼吸して落ち着こう。
一呼吸おいて口を開く。
「く、くにょっーーーっ」
………………噛んだ。
自分の名前を言おうとして噛んでしまった。
周りから小さい笑い声が聞こえる。
…………………………消えて無くなりたい。
とりあえず何か喋らないと自己紹介は終わらないので、とりあえず喋る。反省はその後でいい。
「………九条零翔です。よろしくお願いします」
少し遅れて拍手が聞こえてくる。
冷ややかな拍手。
失敗した。
またもやかなりの精神的ダメージを負ってしまう。
「はい。自己紹介も終わったところで、今からこの学校のルールを説明します」
何事もなかったかのように説明しだす四葉。
その気遣いが逆に辛かった。
「まずは、希望ヶ丘学園に入学おめでとう。みんなよく頑張ったね~。それじゃあきみたちに、この希望ヶ丘学園の基本的な説明を始めるよ~。まずは、きみたちにこのスマホと首輪を配ります」
そう言って四葉は一人一人手渡しでスマホと黒い首輪を配る。
「まずは首輪の説明から。その黒い首輪は今から卒業するまでずっと着けてもらいます。お風呂の時も外してはだめだよ~。その首輪にはGPS機能や他にも便利な機能がついていて、着けてて損はしないから我慢して着けるようにね。ちなみに外したら厳しい罰則が与えられるから気をつけて~」
そう言われれば大人しく着けるしかなく、クラスメイトたちも次々と首に装着していく。
「次はスマホの説明だよ。それはこの希望ヶ丘学園で生活する上でなくてはならない必需品です。全寮制のこの学校では、3年間ずっとこの学校の敷地内で生活してもらいます。安心して。生活に必要なものが売ってるスーパーやコンビニ、娯楽施設なんかも充実していて生活には一切事欠かないから」
確かに校舎に向かう際、大型のスーパーが遠目に見えていた。
やけに学校の敷地が大きいと思ったが、そういう理由だったのか。
「この学園の敷地内にあるスーパーやコンビニ、娯楽施設なんかの全ての施設は無料で利用できるから、みんな遠慮なく利用してね」
全て無料とは、かなり羽振りのいい学校のようだ。
「この学校では、在学中に様々な方法でお金を稼ぐことができるよ。テストの順位に応じてお金が貰えたり、不定期で開催される特別ゲームっていうイベントの景品でもお金を貰えるから頑張るようにね~。ちなみに、入学したきみたちには入試の筆記試験の順位に応じてすでにお金が振り込まれてるから、後で確認しておくようにね」
オレの携帯には、所持金0円と表示されていた。
「そして最後に、この学校は卒業すると報酬として1億円を貰うことができます。途中で退学しないように卒業目指して頑張ってね~」
クラスメイトたちが目を輝かせる。
この学校は卒業するだけで1億円という大金を貰うことができる。
「それでは説明は以上です。一度きりの青春をエンジョイしてね~」
四葉の説明が終わり、授業が始まった。
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