第21話:ドイツで一時帰宅する僕

病院の入院でよくある「一時帰宅」

勿論、メンタル系の病院でもあります。

オープンステーションでは週末と祝日に家に帰る事が出来ます。

土曜日の朝8時に帰り、日曜日の夜8時までに戻る。

祝日は、朝8時に帰り、夜8時にまで戻る。

勿論、医者とカウンセラーからの同意が必要だ。

そして、彼らは必ず

「自分でやりたい事を見つけて、やる事」

「無理はしない事」

「薬は絶対飲む事」

「ダウンしたら直ぐ戻る事」

色々、約束事がある。

最初に一時帰宅できたのは

僕が入院して、4週間目位だった。


一時帰宅すると、まずやる事がある。

それはメールのチェックだ。

4週間溜めたメールを見るのは一苦労する。

仕事仲間からの依頼だったり、

親からのメールだったり、

ゲームフレンドからだったり。

一通一通見て、返す。


次にゲームのダウンロード

病院の夜は暇だ、基本的に部屋に籠るか患者同士で話をするか

それ位しかやる事がない。

基本的に簡単なゲームを選択する。

例えば、ハックアンドスラッシュだったり、ニードフォースピードだったり

ネット速度が遅いので、基本家で1日2日、放置して完了させる。


後は、家事だ。

掃除、洗濯、買い物、料理。

この4つは週末のルーチンワークだった。

音楽を聴きながらやれば、苦にはならなかった。


これらが終わって、初めて嫁と娘と遊んだりする。

嫁さんからこんな事が有った、娘がはいはいしたとか

基本娘の事だ。

子供の成長は早い。

気が付いたら、言葉を発し。

気が付いたら、登ったり。

この積み重ねで、大人になるんだなぁ。

そう思った。


買い出しの時、嫁さんはいつも、好きな物を食べなさいと言う。

今までドイツに来て、食べる物がいつも同じだった。

ピザかポテト、この2つの内1つだ。

どちらもオーブンで作る。

ボタンを何度か押し、待てば終わる。

早いし、コスパも良い。

しかし、僕は毎日は食べれなかった。

食欲が無かったからだ。

だから、2日、3日に一回位の頻度でしか食べない。

鬱病が少し良くなってから、毎日何かを食べれる様になった。


そして週末、大体僕が作るのは日本食だ。

嫁さんが好きだから。

ドイツで日本食を作る材料はある程度は買える。

みりんだったり、酒だったり、だしの素も。

ただ、高い。日本の3倍はある。

海外あるある。

そぼろご飯。

楽だし、上手いし、冷えても食べる、保存も効く

嫁さんも大好きだ。

作るのもそんなに時間は掛からない。


家に居てもご飯は一緒には食べれない。

何故なら、娘が泣くんだ。

まるで、「私にも食べさせろ」と言ってる様な。

それ以降、僕と嫁さんは別々に食べている。

早く一緒に食べたいが、食べれる日が来るだろうか。


寝室も別だ。

鬱病患者は質の高い睡眠を取らなければならない。

故に、夜泣きする娘から離れる為、僕は別室だ。


こんな週末が毎週だ。

特に何もなく。


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一時帰宅しても何もやる事がない…

と言うより、有意義に過ごすというのは難しい。

急に人は変われない。


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