第19話:ドイツで僕の友人プロフェッサーに会う

二度目のオープンステーション、戻ってきて

僕がドイツで初めての友人になった男と出会った。


彼の名はダニー

背が高く、細マッチョ、髪は凄くショートで服装は機能性重視。

眼鏡をかけ、神経質な顔なのが特徴的だ。

雰囲気がスティーブ・ジョブズと似てるな…

そう思った、僕は彼に話しかけた。

「こんにちは、初めまして、〇〇と言います」

彼はニコッっと笑うと

「やぁ、僕はダニーだ、鬱病治療で来ている」

「君は、日本人かな、英語の発音にアジア特有だ」

知識量が多い男?、そんな気がした。

「その通り、僕は日本人だよ」

彼は興味を抱いた様に

「やはりそうか、言語の歴史にあってね、発音の特徴で大体のエリアが分かる」

「そんな理論があるんだよ」

何者なんだろう? 純粋な興味だった。

「詳しいですね、研究者か何かしてるんですか?」

彼はクールな顔で言った

「いや、僕は教授だよ、先生を育てるね。」

先生を育てる?なのかと思ったが

「オーストリアの大学で教授だよ、専攻は言語、歴史、数学、化学とかだよ」

「担当は中学から高校だよ。物によって変わるけど。」

「日本とは教育システムが違うかもしれないね、ドイツやオーストリアではこうだ」

面白い、この人は面白い、そう感じた。

「興味深い、今度ドイツの教育理論や教師について教えてほしい」

彼は笑みを浮かべながら言った

「良いよ、是非話をしよう、君は教育者になりたいのかい?」

こんな感じだった。彼と最初の話は。


ダニーと会話が増え、徐々に彼を理解した。

彼は孤児だった

親の愛を知らない

体格で虐めを受けた

鬱を発症したのは子供の頃

鬱に気づいたのは、大人になってから

アップル製品ガチ勢

旅行や旅が好き

一人で過ごす事を心に決めている


この人は僕と似ている事が多かった。

食事中に邪魔されるのが嫌い

静寂を好む

品性を感じない人が嫌い

無駄が嫌い

言い出すとキリが無い。

お互いの嫌いな事を理解してるから、余計過ごしやすかった。

それに、彼との会話は面白い、文化、歴史、文学、組織論、経営学なんでも話せた。


彼と印象に残っている会話は人は何故、対立するか。

何故こんな会話をしているのかと言うと、

ドイツとギリシャの賠償金問題だ。

この内容を雑に言うと

戦後処理の話だ

ギリシャ人は賠償金を貰っていないと

ドイツ人は払った

こんな内容だった。


ダニーと僕の興味は、対立する理由は何処にあるかだ。

ダニーが思う理由は「文化による価値観の支配」

彼の意見は、社会と言う文化が人を変え、それに伴い、価値観が構築された。

結果、その価値観が周りと差が出来て、その差が対立を生んでいると。

流石、プロフェッサー面白い、納得する。

やはりスマートだ、彼は。

僕には行きつかない回答だった。


僕の考えは「立場」だと言った。

「元々、社会は最大幸福、最小不幸を前提として作られていて

必ず勝者と敗者が生まれる仕組み」

「何処に自分が居るかによって、見方が変わる、

 故に、立場が人を変え、立場で見方も変わる。」

「国家と言う立場で見て、有益なら正義、不利益なら悪」


彼はこの意見を聞いて、ニコニコしながら言った。

「君との会話は本当に飽きないよ、立場の拡大解釈は納得できる」

そんな事を言って、コーヒーを飲んでいた。

「こんな会話を大学でしたことないよ、僕には友達が少ないからね」

彼の表情は楽しそうだが、目は悲しそうだった。

印象的だった、楽しいのに悲しいというのは。


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友人のダニーさんでした。

彼との会話は本当に楽しかった、病院内で何時間も討論してた。

どんな話をしてても、何時間でも話せるのは嫁さん以外で初めてでした。

会話の中で結局答えは出なかったのですが、それでも満足感を得られた。


彼との会話は政治施策だったり、ホットな問題がメインだった。

例えば、

ドイツの難民問題と政策は失敗だったのか

とか

イギリスのEU離脱はどうなると思うか

そんな話をしてました。


嫁さん曰く彼の印象は

「彼は良い筋肉持ってて、ルックスも良いし、頭も良い」

「顔が神経質で気難しさが出ている、そしてアップル信者はドイツでは受けない」

アップル信者はどうやらドイツでは意識高い系に分類されるらしい。

「でも、貴方の可愛さが・・・ry」

嫁さんほんと好きね。


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