第9話 昼休み①
乙葉への視線も朝のHRが終わるころには結構収まってきていた。
(はあ、視線って疲れるんだな・・・)
乙葉のとって初体験であった。人に注目されるというのは。
「早く帰りたいなあ・・・・・」
-------------------------------昼休み
乙葉は生徒会室に向かって歩いていた。片手には購買で買ったパンがある。
(変に緊張するなあ)
«どういう意味だ? それは»
鴉がからかうように聞いてきた。
(生徒会室に行くって初めてだからさ。それに俺、関係者じゃないし)
«はあ、そうよな。お前はそういうやつだったのう»
そうこうしているうちに生徒会室に着いた。
コンコン
「は、はい!」
中から慌てたような声が返ってきた。
ガチャ
「は、入って」
「ああ、」
乙葉が中に入ると、コーヒーの香りがほのかに流れてきた。
「座って」
「・・・なあ、1つ聞いていいか?」
「なに?」
「なんで弁当が2つあるんだ?」
「あ、あなたの分を作ってきたのだけれど、め、迷惑だった?」
「いや、それは素直にうれしいよ。ありがとう」
乙葉はソファに座り、パンを傍らに置く。
「食べてもいいのか?」
「う、うん」
中を見てみると、色取り鮮やかなおかずが敷き詰められていた。
「すごいな、これ」
「あ、ありがとう」
2人は黙々と食べ始めた。美咲は何かしゃべりたそうにしていたが、乙葉は食べることに夢中であった。
「ふう、うまかった」
「そ、そっか」
見てみると、美咲の弁当は半分も減っていない。
「そういえば、何か話があったんじゃないのか? 食うのに夢中で忘れてたんだけど」
「うん、これからの指導のことなんだけど」
「ああ、今後の予定とか、方針とかか?」
「そう。大体教えてほしいんだ」
「わかった」
乙葉は立ち上がって、話し始める。
「まずは、基本の霊力操作を身に着けるところからだな。少なくとも、これぐらいはできてほしいかな」
そういって乙葉は右手だけに霊力を集め、循環させる。相当大雑把にやったが、美咲は驚いているようだった。
「そ、そんなに⁉」
「いや、コツをつかめばこれぐらいはできるようになると思うぞ」
「で、でもそれぐらいになるとお父様と同等くらいよ」
「そうなのか?」
«そうだ、お前の霊力操作は分家のなかでもずば抜けているんだ。自覚しろ»
鴉のツッコミが入った。
(すまん、ありがとう。気をつける)
「そうだな、美咲は結構感覚で霊力を操作してるだろう?」
「え、ええ。そうだけど」
「そこから直していこうか。それじゃ、底が見えている」
※次回更新 3月7日 土曜日 0:00
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