悪魔の辞典 ミステリ版

け

【計画】　　瓦解するもの。特に完全犯罪。

【警察】　　無能。

【刑事】　　二人組でなければ偽者。

【警部】　　探偵に馬鹿にされがちだが、実は偉い人。

【警部補】　　エリートは早々と到達する職級。警察は縦社会なので、警部との違いは、ちくわとちくわぶより大きい。

【怪我の功名】　　誤認逮捕した常習のコソ泥から有力な証言を得られること。

【毛皮】　　お金持ちの依頼人の女が身につけている。犯人かも知れないと思っているのは、読者だけで鼻の下が伸びた探偵は気付かない。

【激怒】　　走る以外にメロスがしたこと。「ついカッと」なること。我に帰ると口論の相手が血まみれで倒れていて、血の付いた灰皿を手にしていることもある。

【ケチ】　　節約家。財布の紐が固い人。直せば使えそうだからと犯人が捨てた証拠品を持っている人。

【ケチャップ】　　血糊の代用品。

【下の下】　　「この中の誰かが犯人なのに、広間で一緒に寝るなんてオレはゴメンだね」と一人で部屋に閉じこもる行為。実生活では得策に思えるが、フィクションの世界は甘くない。

【ケレン】　　あるほうが好まれる。

【幻影城】　　ミステリ愛好家の城。

【原稿】　　（１）編集者が欲しがるもの。飯のタネ。お原稿。（２）作家が「進んでます、順調です」と嘘をつくもの。飯のタネ。ゲンコー。（３）新人賞応募者が学業や仕事や家事や育児の合間に命を削ってつくっているもの。飯のタネではない。ゲ・ン・コ・ウ。

【健康法】　　くたばれ。好きなときに好きなものを好きなだけ食べること。

【拳銃】　　日本では簡単には手に入らない凶器。安全装置を外さないと撃てない。原稿の進まない作家が担当編集に向けることを夢見る道具。