裏切りの騎士
「へぇ、たくさんあるんだな」
オレ達は競技会の会場の外にある大通りに来ていた。
道の脇にはたくさんの屋台が並んでいる。
この三日はお祭り騒ぎみたいなものらしく、人々で賑わっている。
気晴らしをするにはちょうどいいだろう。
オレは、セレス、オリビア、クシェル、デュランと一緒にいた。
「うめぇなこれ、さすが祭りの屋台って感じだな」
デュランは屋台で買った焼き鳥を食べている。
クシェルとオリビアはワッフルを食べながら談笑し、オレとセレスはサンドイッチを食べていた。
「あ、そうだ、みんなに来てほしい所があるんだ」
突然、セレスからみんなに呼びかけられる。
「なんだ、うめぇ飯屋でも知ってるのか?」
「着いてからのお楽しみだよ」
オレ達ははセレスに連れられて歩き出した。
オレ達は普通の一軒家の前に立っていた。
「ここか?どう見ても普通の一軒家みたいだけど・・・」
オレがよく分からずセレスに尋ねる。
「見た目はね。でも中は違うんだ」
セレスが扉をあけて、オレ達は中に入る。
中は机と椅子がたくさんあり、カウンターのようなものまである。
小洒落た喫茶店のような雰囲気を醸し出している。
「いらっしゃい、どうぞ座って」
カウンターにいたマスターに勧められてオレ達は席に座る。
「けっこう良い店ね」
「そうだね、なかなかおしゃれ」
オリビアとクシェルが呟く。
確かに中々良い店だ。
でもなんだ・・・この妙に引っかかる感じは。
マスターがオレ達の席の寄ってくる。
「いらっしゃい。今当店ではご来店のお客様にスペシャルなプレゼントをしております」
「へぇ、どんなプレゼントなんですか?」
オレが尋ねた。
マスターとの間に少しの間、沈黙が流れる。
「それはーーーーー地獄への招待券です」
オレ達は訳がわからず少しの間座ったままだった。
その隙にマスターは持っていた杖から仕込みの剣を引き抜く。
その様子を見てようやく事態を把握したオレ達は椅子から一斉に飛び退いた。
さっきまでオレ達の首があった位置を剣が切り裂く。
「何すんのよ!」 「何すんだテメェ!」
オリビアとランディが同時に吠える。
オリビアは得意の火魔法を、ランディは自分に硬化魔法をかけて敵に接近戦を仕掛ける。
「やめろ!この狭い部屋の中で魔法を使うな!」
オレは二人をやめさせる。
「この狭い場所で戦えば乱戦になる!だから一旦ーーーーーッ!?」
オレが話をしている隙に敵が切りかかってくる。
悠長に説明している暇はなさそうだ。
オレも剣で迎え撃つ。
ギンッと甲高い音が鳴り響く。
「良いから全員店から出ろ!オレが片付ける」
オレのセリフを聞いたはずだがみんな戸惑っている。
オレを一人で置いていっていいものか決断しかねているようだ。
「信じてるよガゼル!」
セレスが一番最初に分かってくれたようだ。
すぐに店を出ようと扉の方を向く。
「任せろ!」
オレは力強く応えると、敵の剣を押し戻す。
一瞬でカタをつけてやる。
オレがそう思ったのも束の間、オレの視界が揺らぐ。
視界が宙を舞ったと思ったらドンっと何かが落ちる音がする。
床がすぐそばに見える。
周りを見渡すと視界の中には立ち尽くすオレの身体がある。
ーーーーーだが、首から上がなくなっていた。
「ガゼルっ!?」
オリビアが驚きのあまり声を上げる。
オレの首ははね飛ばされ床に転がっていた。
「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます