記憶喪失になった僕に何故か彼女を名乗る美少女幼馴染が五人もいる件~個性的な美少女幼馴染達の嘘を見極め、真実を導き出す~
三日月
目覚め
「ここは……どこ……うっ……」
あ、頭が割れるように痛い。それにどうして僕はこんなところに……それにそもそも僕って誰だ?
「すぅ……すぅ……すぅ……」
それに先程から横で寝息を立てている女性は誰だ? 見た所制服だから僕とほぼ年は変わらないだろう。それによく見たらかなり可愛い。
白く透き通る肌に、長く美しい金色の髪をリボンで可愛らしくまとめており、その姿は見るもの全てを和ませる。
現に僕の心は彼女を見ていると不思議なほど落ち着いていた。普通だったら何も思い出せない事に恐怖を感じるはずなのに、不思議とそれを感じない。
それに先程から彼女はずっと僕の手を握っていた。寝ているにも関わらずその力はとても強く、絶対に離してはくれなさそうだ。
「うう……
「しょう……ちゃん?」
それが一体誰を指しているのかはわからないが、きっと目の前の少女にとってとても大切な人の名なのだろう。
「見た感じ病院だし……とりあえずナースコールでもするか?」
この状況下に置いてそれをするのが最も正しいのだろう。でもそうしてしまったら、気持ちよさそうに寝息を立てているこの子を起こしてしまうだろう。それはなんだか忍びない。
「だとしたらこのまま夜明けを待つしかない……か」
部屋に備え付けられている時計を見ると長針は12、短針は2を指していた。
「二時……だからあたりが暗いのか。でもそうなると……」
通常この時間の部外者の見舞いは禁止されているはず……だとするとこの子は僕の家族になるのかな? 制服を着ているから母親という線もないだろうし、妹とか姉とかになるのかな?
「見た感じ妹の様に見えるけど……」
目の前の少女の顔立ちはまだまだ少女特有の幼さの様なものが見て取れる。胸に少女が持ち合わせない巨大な物を持ち合わせているが、それを含めたとしても年下の様に見える。
「まあそんな事を考えている場合ではないのだけれどね……」
僕は僕自身に関するありとあらゆる記憶を不自然な程忘れてしまっている。俗に言う記憶喪失というやつだ。
本とかだと記憶をつかさどる海馬という器官の損傷が記憶喪失の原因だとされている。しかも記憶喪失というのは他の病気と違って具体的な治療法がなく、記憶がもとに戻る可能性が低いのだ。
その事について少々気が重いが受け入れる他ないだろう。それに何か再び脳に強い衝撃を与えればもとに戻る可能性だってあるわけだし……それに僕の場合忘れているのは、僕に関係する事のみなので、まだマシな方だと言える。
もしすべてを忘れてしまっていたらそれこそ僕の人生は破滅的で、また一からすべてをやりなおさなければいけなくなる。
「その点で言えば僕は運がいい……のかな?」
「んん……章ちゃん……?」
どうやら僕のそんな情けない呟きに反応して、少女は眼を覚ましてしまったようだ。
「起きたのかな? それなら……」
「しょ、しょしょしょ章ちゃんが起きてる!? なんで!? どうして!?」
話の内容から考え見るに
僕の名前か名字には『しょう』がつくのか。
「ふむふむ。なるほど」
「何一人で納得しているのさ!? 私本当に心配したんだよ!? こ、このまま一生起きないと思ったら私……私……」
「おいおい。泣かないでくれよ……」
「だってぇ‼ 章ちゃんがぁ‼」
「はいはい。僕が悪うござんした。だから泣き止んでくれ。な?」
こんなところで泣かれた他の患者の迷惑が掛かってしまう。それは人として良くない事だ。
「うう……わかった……」
「よしよし。いい子、いい子」
うわ。髪超気持ちい。ナニコレ!? ナニコレ!?
「えへへへ……章ちゃんに頭撫でられるの久しぶり……」
「そう……なの?」
「うん……こうしてもらうの大体一か月ぶりくらいなんだよ?」
「一か月……」
僕はどうやら一か月間も眠り続けていたらしい。どうしてそのような事になったのかは、相変わらず思い出せそうにないけど今は一旦置いておこう。
「それで君は僕の妹? それとも姉?」
「ええと……何を言っているのかな?」
気のせいか。彼女の声にわずかに怒りの色がにじんでいる。一体どうして……
「ん? 君は僕の姉か妹のどちらかじゃないのか?」
「全・然違うよ‼ 私は章ちゃんの彼女‼ 彼女だよ‼」
「へぇ……ふ~ん。彼女ねぇ……ん? 彼女!?」
「そう彼女だよ‼ 章ちゃんの愛しの彼女で、幼馴染でもある
特報。記憶喪失になる前の僕には美人で幼馴染の彼女がいたらしい。
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