第12話 風景、季節、天気の描写を取り入れる。

 風景、季節、天気の描写、きちんと細部まで描いていますか?

 これも創作の現場で話題が尽きたとき、よく取り入れられる表現の1つです。


 風景、季節、天気の描写を学ぶには、他人が書いた小説をよく読むことも大切ですが、ユーキャンなどのDVD、たとえば日本の寺巡りとか、日本の大自然八景とか、その手の類いのDVDを視聴するのお薦めします。


 目で得る情報も大事ですが、耳から取得する情報も、これも安易に取得できる王道の1つといえる。


 風景や季節、天気などを適切な描写として描き切れるようになると、それだけ表現の仕方が広がるばかりでなく、それだけ主人公の情景に迫ることができるので、登場人物の感情の波を揺さぶることが容易にできるようになる。


 今日は晴れていた、そう一行で終わらせてしまうのではなく、風がいでいたとか、木々の色合い、空気の匂い、気温、海の色、空に浮かぶ雲、朽ちそうな電柱、道端に咲くタンポポ、駄菓子屋に集う子供達の声。色々なものが、小説の中では題材となり、武器に変わる。


 ダメな作家は、今日は晴れていたとか、町は静かだったとか、1つの言葉で多くを語ろうとするから物語が横に広がっていかず、つい会話形式で物語の文字数を水増しする。


 それではダメだ。

 小説を書く上での、進歩がない。

 小説は描写を描いてナンボの世界だ。


 人物の揺れる心の動き。

 その時、直面する場の雰囲気。

 そこに出くわすメンバー達の声。

 諸々…。


 そういうモノが折り重なって1つの雰囲気を醸しだし、オリジナルの世界を作り上げ、やがて収束し、結末へと向かう。


 だから、多くの描写を1つの言葉で、今日は晴れていたとか、彼女は悲しんだとか、そういう言葉で処理してはダメなんです。


 なんか良く伝わりづらいですが、小説を書くという行為が、どういう意味合いを持ち、いかに雰囲気作りが大事かという点に於いて、薄っすらとですが、おわかり頂けたのではないでしょうか?


 何度も言いますが、小説は1つの言葉を伝えたいが為に登場人物のコマをいくつも動かし、その場の雰囲気作りをし、幾つもの言葉を並べたて、そして肝心なクライマックス、結論へと誘導しているにすぎない。


 だから、たかが風景、たかが季節、たかが天気の描写だと思うかもしれませんが、こういうベタな部分が、とても大切になってくるわけです。


 そこから始まる小説がある。

 そこに伝えたい言葉がある限り、幾つもの描写は是が非でも必要となってくる。

 

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