第98話 石像と壁画とアニメ

「惑星ラハルとの接続、完了じゃ!」


 凄い! マヤマヤとプヤプヤちゃんの声だよ!

 モニター越しに二人の顔も見えてる!!


「マヤマヤ、プヤプヤちゃん、お久しぶりですね!」


「二人とも元気そうだニャ! 変わってないニャ~」


《お久しぶりです、みなさんもお元気そうで何よりです》


《プヤプヤもね、すっごく元気だよ!》


 あぁ、相変わらず二人ともカワイイね。

 顔を見られただけで、もう幸せすぎるよ。


「ところでおじいちゃん、どうしてラハルと通信を接続してるの?」


「実は少し前から、ラハル側から通信を受けておったのじゃ。しかしフローンの本部は倒壊しておったからのう、通信を繋げんかったのじゃよ」


「なるほど、それを繋げるようになったから、私達を呼んだんだね」


「その通りじゃな、ちなみにラハル側から通信を送ってきた者は──」


《特異点様あぁっ! お久しぶりですうぅっ!!》


 うっ……この声は……。


「……マジーメ……」


《はい! 特異点様に救われし、宇宙一幸運な男! マジーメでございます!! 》


 うわぁ……モニターにマジーメの顔面どアップ……かなりキツいよ。

 あ、マズい……封印したはずの全裸儀式の記憶がよみがえってくる……。


《特異点様は大変お元気そうで、このマジーメ非常に嬉しく──》


《ねぇっ、今はプヤプヤが喋ってるの! マジーメおじさんはどっかいって!》


《こらプヤプヤ! 無理やり話に入ってはいけませんよ!》


《だってだって! プヤプヤもソーラお姉ちゃん達とお話しをしたいんだもん!》


《プヤプヤよ、邪魔をしないでもらおうか? 今は特異点様と私の、濃密な時間の只中なのだ》


《ほらプヤプヤ、あとで時間をもらいましょうね。今はマジーメに──》


《やだやだ! 先にプヤプヤだもん!!》


《こら! わがままを言わないの!!》


「うナー……混沌としてるニャ……」


「マヤマヤは苦労人ですよねぇ……」


「ラハルって一体どんな惑星ですのよ……」


 あ、マヤマヤとプヤプヤちゃんはどこかに行っちゃった。

 っていうか、プヤプヤちゃんは子供なんだから、大人のマジーメは譲ってあげなよ。


《コホンッ。さてこの度は、惑星フローンの解放おめでとうございます。特異点様ならば必ず成し遂げると信じておりました!》


「うん? もしかしてマジーメは、フローンの状況を知ってたの?」


《私も元ヴェーゼの一員ですので、大まかな情報は入ってきておりましたよ》


 だったら先に教えておいてよ……。

 ソーラ様号なんていう、ヘンテコな名前をつける前にさ……。


《特異点様を送り出して以来、定期的にフローンの情報を集めていたのですよ。すると、ヴェーゼ本部陥落の情報が入ってきましてね。これは特異点様の仕業で間違いないと思い、通信をお送りしたのでございます!》


 え……何そのストーカーみたいな情報収集力。

 やっぱりマジーメって、生粋の変態ストーカーなの?


《それにしても、ユニオンマスターを打ち倒すとは、流石は特異点様でございます。そして今回、頑張られたであろう特異点様に、超朗報を用意しております!》


 おや? 頑張った私に超朗報?

 もしかして、私の体の居場所を調べてくれたとか?


《実はですね……》


「実は……?」


《以前より進めていた、“超巨大! 特異点様石像!!”建設計画を、ついに完成させたのです! さらに、“みんなで描こう、特異点様の崇拝壁画!” 計画も、最終段階に差しかかっております!》


 はっ!? 石像? 壁画?

 そんな計画知らないんだけど!


《更にさらに! 特異点様を主人公にしたアニメ、“とくいてん!”の放送を開始しております! とにかく大人気で、特異点様グッズは飛ぶように売れております!》


 信じられない! なんで勝手に変なアニメを放送してくれてるの!?

 あっ、モニターに映像が映ってる……。


 もの凄く大きな私の像に、宗教チックな巨大壁画。それと、カワイイ女の子のアニメ。

 もはや……もう……なんて言っていいかも分からないよ……。


「わぁ! あのアニメ、とっても面白そうですよ」


「ホントだナ! あのキャラクターはソーラかニャ? なかなか似てるナ!!」


「意外とちゃんとしたアニメですのね……普通に見てみたいですわ」


「ちょっと三人とも、他人事だと思って!」


 ん? でも確かにちょっと面白そうかも……。

 いやいや、そういう問題じゃないから!


《いかがでしょうか? 喜んでいただけましたでしょうか?》


「うん……マジーメに一つ言っておくことがある……」


《はい! なんでしょうか?》


「今度あったら、絶対にお仕置きだからね!!」


「お仕置き!? そんなっ、なぜですか!」


 理由は……多すぎて私も覚えてないよ……。 


 とにかくマジーメ……。


 次にあった時は、覚悟してなさい……!

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