第65話 会得したもの
シークレットスキル
特定の条件を達成した者にのみ発現するスキル。ユニークスキルよりも稀少で、扱い方を誤れば、敵も味方も、あるいは自分も含めて破滅してしまう威力を持つ。故に使用するには、スキルそのものを理解し、十分に注意をしなければならない。
とまあ、ずいぶんと物騒な力のようだ。
まさかスキルを獲得するのに、こんな方法もあったとは初めて知った。
特定の条件か……。
「俺の場合は、ユニークスキルを持った奴を倒したから……だな」
実際にそのあとにこの〝シークレットスキル〟を手に入れたのだから。
「次にこの《審判》だが……」
当然内容を知るために調べてみる。
審判 気力消費:全気力
すべての生物の言動に対し、裁定者として有罪か無罪かを決定することが可能。無罪ならば、対象の再起、復活、蘇生などの効果を発揮させられる。また無罪となった対象には、不能、封印、滅亡などの効果を与えることができる。ただし対象のレベルによって、効果の差は出る。また二十四時間に一度しか使用することはできない上、再び《審判》が使えるようになるまで、気力もアイテムなどでは回復することができなくなる。
これまた《死眼》に引き続き、ぶっ飛んだ力を持っていることで……。
気力消費も有り得ないが、確かにこれほどの能力なら二十四時間に一度しか使えないというのも理解できる。
これまで俺は相手を死に至らしめる力しか持っていなかったが、このスキルがあれば対象を復活させることもできるとのこと。
しかも蘇生ということは、死者すらも……ということだろうか。だとしたらマジでとんでもない力である。
だが使用する時は十二分に注意が必要だ。強過ぎる力は、必ず反発を生むからである。
死者蘇生ができるとしたら、この力がバレた時に想像以上の面倒ごとに巻き込まれることになりそうだ。
この力のことは、ギリギリまで誰にも打ち明けない方が良いかもしれない。
特に姫宮だ。アイツが知れば、それほど親しくない人物でも復活させてほしいと願ってくる可能性が高い。そんなことになれば厄介さが増えるのは間違いない。
人として姫宮の行動は間違っていなくとも、俺はそこまでお人好しじゃないし、リスクも高いので無理だ。
特に気力が自然回復しかできない点は痛い。おいそれと使用できないだろう。
それを踏まえて説明しておけば良いかもしれないが、情に厚い姫宮のことだから、いざとなったら分からない。だからその時まで秘密にしておく方が良いと判断する。
「とりあえずまあ、十分な戦果はあったかな。レベルもすげえ上がってるし」
鈴町 太羽 レベル:65 スキルポイント:43
体力:2630/2630 気力:3300/3300
筋力:220 耐久性:182
特攻:G%?S 特防:291
敏捷:258 運:35
ジョブ:死神(ユニーク)
スキル:死眼(ステージⅢ【死線】・【死界】・【死覚】)・気力自動回復S・鑑定B・状態異常耐性A・気配感知B・アイテムボックス拡張B・鷹の眼B・鑑定妨害A・
S・スキル:審判
コアモンスター討伐数:16
討伐ポイント:15114930
称号:魔眼持ち・ドラゴンスレイヤー・瞬殺魔・モンスターハンター・ギルド『サーティーン』・ギルドマスター・稼ぎ頭・達人・ユニークジョブキラー・シークレットスキルを持つ者
普通のゲームなら、十分にラストダンジョンに挑むくらいのステータスではなかろうか。
それに何といってもTポイントが凄まじい。やはり岡山さんたちとの出会いがあって良かったかもしれない。
これで姫宮が欲しがっていた大豪邸も手に入れることができるし、思わぬ収穫といったところだろう。
「スキルポイントは残しておくか。特に欲しいものもないしな」
もっと貯めて、現存のスキルのランクアップを図っても良い。
そこへ先輩たちが帰ってきたので、俺たちはそのまま車に戻り、再び静岡県の街を突っ走っていく。
欲を言えば静岡グルメを満喫したいが、山梨県の件もあって、できるだけ素早く通過するという意見に皆が賛同した。
高速道路に乗って、ただただ何も起こらない道路を突き進んで行く。
「もうちょっと静岡を堪能したかったですけどねぇ」
「まあ、いずれまた寄ることもあるだろうし、その時を楽しみにしていればいいさ」
俺も先輩の言うことを支持し、次に目指す愛知県へと車を走らせていく。
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