シッπ(シッパイ)!!~永遠に続く失敗だらけの青春恋物語~

ねしちご。

刹那高校二年一学期編

第1話・普通の女の子を求めて

「なんで……私って……失敗だらけなの!!普通の女の子でいたいのに!!」

東城風とうじょうふうは刹那高校の屋上で遠くに見える山に向けて叫んだ。

「もぉ、そんな叫んでる自体で普通じゃないって……」

親友の三毛弥生みけやよいは呆れ混じりの嘲笑をしていた。

「普通って何?」

「いや、別にいいじゃない」

「別にって何よ?」

「風は風だよ」

「普通の女の子でいたいの」

「もぉ、手遅れだって……」

そんな会話の中、授業のチャイムが鳴った。1人の男子生徒はそんな様子を見上げていた。


今日の授業が終わり、音の外れた歌を歌い、猫を連れて風は帰り道を歩いていた。

「普通でいたいんじやないの?」

隣を歩いていた弥生は、先程同様呆れ交じりの嘲笑をしていた。

「らぁらぁらぁルルル~」

「キツネでも呼んでるの?」

「ここは北海道じゃないし。ルールルルルルだし、それ」

この日は極端に暑かったため、自動販売機にて冷たいお茶を買うつもりが、間違えてほっとレモンを買ってしまった。

「また、失敗しちゃった……」

「それ失敗ってよりただポンコツなだけじゃない?」

「トンコツ?ラーメンはやっぱり醤油でしょ!」

「いや、ポンコツ……てか、よく飲めるね……ほっとレモン……」

「どうせ尿となって排出するし……」

「女子の発言とは思えぬ発言だね……」


その夜、父、母、少し年が離れた妹と一緒にいつものように夕食を食べていた。無論普通の家族だ。

「風、お前にむ……」

「あなた、食事中になんて事言うの?」

「変態だ!変態パパだ!」

「なんも言ってないだろ!なぁ、風?」

「……うん……」

こんなふうに普通の家族とは違った会話や夕食を終えた後、風呂、歯磨き、宿題を終え、夜10時になろうとしていた。ベットにダイブし、天井を見上げた。風には1つやりたい事があった。

「普通の女の子計画1つ」

親友の弥生に以前、言われた事がある。

「普通の彼氏をゲッチュする事だ!!」

天井に拳を突き上げた。

「明日こそ!!」

それが、東城風17歳の普通じゃない恋愛物語のプロローグだった。

「うるさい。お姉ちゃん!!」

「すいませーん」

その夜は星空が広がり、満月が見えた。

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