89話 神様の白血球は異物を許さない。


 89話 神様の白血球は異物を許さない。



「なんだ、この白い血……目が……おかしくなった……? いや、でも、『ちょっと前に吐いた血』は普通に赤く見えている……え、なにこれ……キモいんですけど……」



 疑問に思っていると、

 さらに不思議なことに、

 センが吐いた白い血は、

 うねうねとうごめきながら、

 センの両腕と足に、からみついてくる。


「……き、きっしょ……」


 言いながらも、

 センは、自己防衛本能で、逆に、それを受け入れた。


 と、同時、センの脳に、一瞬だけ、とある言葉が浮かんだ。

 思考を介していない、フっと浮かんだだけの言葉。


 それを、センは、反射的に、ボソっと、




「……『究極超神化プラチナム』……」




 その宣言を受けると、

 センの腕と下半身を纏(まと)い始めた白い血は、

 次第に硬質化していき、

 気付けば、鎧の様相を呈していた。


 美しく輝く、白銀の鎧。

 まるで、『神様』が有する『美しさ』を表現したような白の芸術。



「……い、意味がわからん……」



 そうつぶやきながらも、

 センは、鎧化した白銀の血を眺めて、


「……なんか……軽いな……」


 白銀の鎧は、かなりゴツい見た目で、

 視覚的には、重量感を感じる形状なのだが、

 しかし、センは、


「まるで重力から解放されたような……そんな気分だ……」


 実際のところは、普通に『基本的な質量』を感じているのだが、

 しかし、感覚的には、『大半のしがらみ』を失ったように感じた。


「足手まといの鬱陶しい鉄球が外された……っていうのが妥当な例えかな……つぅか、普通に傷が回復しているな……体力も……充実している気がする……」


 体が軽くなって、頭がスッキリして、

 気付けば、ダメージも全快していた。




 000000000000000000000000000



 《レベル》     【1】

 《オメガレベル》  【6000】


 [HP]      【2億7300万/2億7300万】

 [MP]      【35万/35万】

 [スタミナ]    【89000/89000】


 「攻撃力」       【15800】

 「魔法攻撃力」     【12980】

 「防御力」       【25】

 「魔法防御力」     【32】

 「敏捷性」       【17億】

 「耐性値」       【19】

 「HP再生力」     【155万】

 「魔力回復力」     【19000】

 「スタミナ回復速度」  【8000】

 「反応速度」      【?】


 「隠しパラメータ合計値」【?】


 「獲得経験値」     【0】

 「ネクストEXP」   【無限】



 11111111111111111111111111111


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「今の俺なら飛べる……これまでよりも、ほんの少し高く……」


 そうつぶやきながら、

 センは、迎撃のファイティングポーズをとった。


 堅と受けの構え。

 自ら攻める気は一切ない、

 と、態度で示しているようだった。


 そんなセンの『カウンタースタイル』を見て、

 カンツが、


「がはは! 本当に、貴様は面白いクソガキだ!」


 そう叫びながら、

 無策の特攻をかましていった。


 ジャクリナが、あわてて、


「待て、カンツ!」


 と、止めに入るが、

 しかし、カンツは、その制止を一切シカトして、


「がはははは! ワシの全部を受け止めてみろ! クソガキィイイイ!」


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