101話 スーパーボンバーマン2。

 101話 スーパーボンバーマン2。


「おやおや、ツミカさんが怖いのかにゃ?」


「ナメんなよ、怖いに決まってんだろ。お前にビビらないヤツはそうそういねぇ」


 まっすぐな本音をぶちかますセン。


 茶柱罪華という『異常者』に対し、

 心底から『畏れ』をいだき、『絶望』すら感じている。


 『頼むから、余計なことはしないで』と願うセン。

 しかし、そんな願いを、ツミカさんが叶えるはずもなし。


 むしろ、嗜虐心全開で加速していく。

 ラリった目で、どこか遠くを見ながら、


「というわけで、『もののついで』に始まりました、センセーがツミカさんより先に出たら、どこかの託児所が爆発するチキンレース! 同時に開催される二本のチキンレースの結果やいかに! ドンドンパフパフ!」


 などと、奇妙なハシャギっぷりを魅せる茶柱。


 センは、心底鬱陶しそうな顔で天を仰ぎ、


「……おい、こら、そこのスーパーボンバーマン。マジで、いい加減にしろよ、ほんと」


 『疲れ切った雰囲気』を全開にするセン。

 しかし、そんなセンの雰囲気を、茶柱は全力でシカトして、

 自分の言いたいことだけを、

 優雅に、自由に、豊かに、並べ散らかしていく。


「ちなみに、ツミカさんは、今回のチキンレースで優勝するため、これ以上ないほどコンディションを完璧に整えてきたにゃ。ツミカさんほどの天才に、努力までされてしまったら、もうダメにゃ、おしまいにゃ」


「……根性と勇気にだけは、そこそこの自信があったが……しかし、お前の感性したヤバさを前にすると、普通に身がすくむな……」


「ふふん、さもありなん! ツミカさんは万能の天才! 『サウナの我慢大会』という、きわめて局所的なオンステージであっても、この『パーフェクトすぎるスペック』が、いかんなく発揮――つぅか、ここ、あっついにゃぁ! もう、出たいにゃ! 我慢の限界にゃ!」


「……全力で振って、豪快にボケて、キッチリと落として……大変だな、お前の人生。ごくろうさん」


「……きついにゃぁ……しんどいにゃぁ……でも、ツミカさんは、負けず嫌いだから、先に出るのはイヤだにゃぁ……ああ、誰か助けて……ヒーロー、見参して……」


「お前が外に出ればいいだけという、このヌルい状況で、ヒーローが出勤(しゅっきん)するわけねぇだろ。ヒーローの職務をナメんな……つぅか、『お前が勝ったら、託児所が爆破する』という、このクソ状況で、お前を助けるヤツは、ヒーローじゃねぇ。ただのボンバーマン二号だ」


「ごちゃごちゃと、うるさいにゃぁ! そんなんだから、センセーは、いつまでたっても童貞なんだにゃ!」


「童貞ってワードを使えば、俺にカウンターを決められると思っているなら、大きな間違いだ。高校生で童貞なんざ、珍しくもないからなぁ。まあ、仮に、俺が30歳を超えていたら、軽く自殺を考える程度にはヘコんでいたかもしれないが」


「ほんと、ごちゃごちゃとやかましいだけで、全然、サウナルームから出る気配がない……そんなに、ツミカさんに、キスしてもらいたいのかにゃ? 欲求不満なのかにゃ?」


「お前の場合、ガチでブツを仕込んでくる『ホンマもんのハードめなヤツ』だから、引くにひけねぇんだよ」


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