60話 紅の王を生贄にささげ、S級GOOを特殊召喚!

 60話 紅の王を生贄にささげ、S級GOOを特殊召喚!


「……間違いなく、エイボンの書だな……よし、まずは、第一関門突破」


 そうつぶやきつつ、

 中を確認していく。

 他はとりあえずシカトで、神話生物召喚の項目を開き、


「S級……S級の召喚方法……」


 探しているうちに、気付いたのだが、


「……ところどころ、塗りつぶされているのは……茶柱がやったのか? それとも……」


 暗闇のようなインクで、グジャグジャに塗りつぶされている個所が頻繁にみられる。



 パラパラと、神話生物召喚の項目をめくっていると、


「……あった、S級の召喚方法……」


 ・S級GOO。

 ・『クルルー』

 ・召喚方法。

 『きわめてすぐれた知性・カリスマ性・資産・野心・社会的地位を持つ【王】の死体を生贄にささげる』


「……」


 理解すると同時、

 センは、瞬間移動で、カズナの元に飛んで、


「――久剣、『紅院正義』の死体の場所、わかるか?」


 急な質問を受けることにも慣れたのか、

 カズナは、疑問符をはさむことなく、


「おそらく、例のホテルかと。昨夜は、『事故の件』について、『陛下にどう説明するか』を、委員会の主要人物たちと、会議をする予定だったはずですので」


「サンキュー。――あ、魔導書は見つけたから、ここは引き上げて、自分でやるべきと思ったことをやってくれ。もう、さすがに指示しなくても、何をすべきか、自分の頭で考えられるだろ?」



「っ……はいっ!」



 気合いの入った返事をするカズナに、


「OK。じゃあ、いってくる」


 そう言うと同時に瞬間移動。

 慌ただしく、あっちこっちへ瞬間移動。


 ――ホテルにたどり着いたセンは、


「……死体の山はもう飽きた」


 周囲の死体にウンザリしつつ、

 前回の記憶を頼りに、

 正義(まさよし)の死体を探していく。


 首から上は爆発しているので、顔で判断はできない。

 とはいえ、特徴的な和装をしていたので、発見できれば、識別は可能。



(あった、あった。同じコーディネートだから、助かったぜ)



 前回の時と全く同じ和服を着ていたので、すぐに発見することができた。

 そこで、センは、エイボンの書を再読する。


 『生贄にささげる方法』も細かく書いており、

 それは、さほど難しい内容ではなかった。

 『生贄』となる『媒体』さえ用意できれば、

 問題なく実行できる簡単な召喚。



 さっそく準備を行おうとして、

 ――そこで、ボソっと、


「……これ……生贄にささげられた命は、永遠に地獄をさまようとか、そういう感じのアレじゃないだろうな……」


 そうつぶやくと、

 そこで、図虚空が、


「死体を消費するだけだ。火葬と大差ない。紅院正義の魂――『中心』は、すでに、コスモゾーンによって回収されている」


「……コスモゾーンってなんだ?」


「運命の観測者」


「……なるほど、厨二病患者か」


「あながち間違ってはいない」


「そこは間違いであってほしいところだが……」


 などと言いながら、

 センは、図虚空で、床にジオメトリを彫りこんでいく。


 そこそこ複雑な模様だったが、

 2時間ほどで、どうにか書き上げる。


 全ての準備が終了したところで、

 正義(まさよし)に視線を向けて、


「……悪いな、ジーサン。あんたの死体……使わせてもらうぜ」


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