46話 ゼノ・ロイガー。
46話 ゼノ・ロイガー。
「やりたいって顔をしている気がするから任せてあげているだけだにゃ! 直接言われたことはないけど、彼らの表情は、そう物語っている気がしてならないにゃ! だから、そう、つまり、これは善意! 圧倒的善意!」
茶柱の饒舌はとどまるところを知らず、
続けて、べらべらと、
「だから、今後も、ペアの子に、圧倒的善意で、全てをたくす! それが、罪華さんの高潔な生き様! キャー、さすが、罪華さん! 素敵(すてき)を通り過ぎて、もはや、索敵(さくてき)ぃ!」
「まともな日本語をしゃべる気ないんか、お前はぁ! てか、結局、明日も、押し付ける気満々やないか! ほな、早ぉ帰る必要、一ミリもないやろ、ごらぁああ!」
「異議ありぃ! 発言の撤回を要求するにゃ! 『明日、押し付ける気』なんか、さらさらないにゃ! だって、罪華さんが日直をやる日は『明後日』だからぁ!」
「もう、帰れぇえええええ!!」
ブチ切れたトコに、
黒木マナミが、
「落ち着いてください、トコさん。GOOが相手だと、戦力はいくらあっても足りません。罪華さんに帰られたら、普通に困ります。ここは耐えてください」
「こんなんにウロチョロされても、イラつくだけや!」
「いえ、戦闘時における罪華さんは、意外と、普通に、なかなかの戦力です」
「そういうところが、なにより、こいつの腹立つところぉ!! 頭イっとんのに、スペックだけは普通に高いんが、クッソウザぃいいい!」
などと、
どうでもいい会話をしていた、
その時、
ドォンッッ!!
と、豪快な、壁を砕く音が響いた。
シャワールームの壁を蹴り破って、
中に入ってきたのは、
「――よう、ガキども」
緑色でムキムキのオッサンだった。
その外見は、きわめて人間の中年に近いフォルムだが、
『四つ目』で『背中から触手』が生えていて、『腹に口』がある、
と言った感じで、ところどころ、異質さが見え隠れしており、
『決して人間ではない』ということだけは理解できた。
その緑色の化け物は、
トコたちを観察しつつ、
「解放されている魔力、人間とは思えない存在値……お前らが神話狩りだな。噂には聞いているぜ」
首をコキコキと鳴らしながら、
「私は『ゼノ・ロイガー』。S級のGOO。一言で言えば、最強の神だな」
クールな自己紹介を挟んでから、
「聞いているぜ。なんでも、お前ら、『イスの遺産』を使うらしいじゃねぇか。その力で、GOOを殺したこともあるんだろ? くく……面白い。ヒジョーに、面白い」
そこで、ロイガーは、
全身の魔力を充満させて、
「相手をしてやるから、かかってこい。お前らに、本物のグレートオールドワンの力を見せてやる。お前らが今まで相手にしてきた低級のカス共とは次元の違う、絶対的な神の力をその身に刻むがいい」
そう言って、
クイクイっと、手招きをするロイガー。
その姿を見て、
トコが、
「おいおい、ちょぉ待てぇ……S級? え? 最上級のGOO? ウソやろ? マジでいうてる? ウソやろ? あたしら、最高でも、C級ぐらいしか、相手したことないで……」
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