13話 ゲンナイトをナメてはいけない。

 13話 ゲンナイトをナメてはいけない。


(まあ、なんでもいいけれど……)


 心の中でつぶやきながら、

 アモンが、


(問題は、どのタイプの召喚獣か……前衛か、後衛か……火力担当か、支援担当か……)


 と、警戒していると、

 ゲンナイトは、


「ゥオオオオオオオオッッ!!」


 と、豪快な雄叫びを上げた。


 すると、アモンの警戒心の大半が、

 ゲンナイトに持っていかれる。


 強制的に意識を引っ張られたことで、

 アモンは、


(タンクか……っ)


 即座に理解すると、

 鋼の精神力で、

 ゲンナイトのウォークライに逆らって、

 むしろ、ゲンナイトを全力でシカトし、


 『ゲンだけ』をつぶそうと、特攻をかけた。


 ゲンは、そんなアモンの特攻を、

 どうにか対処しつつ、


「ウォークライを使わせたのに、なんで、迷わず、俺に特攻?!」


「ナメないでくれるかな。意識のコントロールくらい、ゼノ……上位者ならば必須事項。それに、『タンクの処理など時間の無駄』というのが僕の戦闘方針でね。召喚獣など、召喚者をつぶせば、そのまま消える」


「合理的だな……けど、俺の切り札は、シカトされたら終了ってほど、ヌルくはないぜ」


 シカトされているゲンナイトは、

 自分の方に攻撃が向かなかったと理解したと同時、


 瞬時に、行動プランを変更し、



「――加速ランク15――」



 ゲンに対してバフをかけていく。

 高ランクの『加速』の魔法をもらったゲンは、

 それまでよりも機敏に動く。


 続けて、ゲンナイトは、


「――鉄壁ランク15」


 防御力を上げるバフを積んでいく。


 その様子を横目に、

 アモンは、


「タンクと支援、どっちもこなせるのか……優秀な召喚獣だね」


「ゲンナイトを放っておけば、俺は無限に強化される。さあ、どうする? それでも、ゲンナイトをシカトし続けるか? 処理した方がいいんじゃないかなぁ。まずは、ゲンナイトを倒してから、俺と向き合った方が、コスパはいいと思うなぁ。……チラッ」


「好きに積めばいいよ。君と僕の戦闘力差は膨大。多少のバフじゃ埋められない」


「……ああ、そうかい。じゃあ、好きにしな。そして後悔するがいい」


 そう言うと、

 ゲンは、



「バフはもう十分だ! 尽きるまで、撃ちまくれ!!」



 ゲンナイトに向けて命令。


 すると、ゲンナイトは、

 両手をアモンに向けて、



「――異次元砲っ!!」



 強力な魔法をブチかます。



(異次元砲っ?! それも、めちゃくちゃ強力! 回避できる?! 完全には無理っ!)



 どうにか回避しようと、ほとんど反射的に体をひねったが、

 しかし、完全回避は出来ず、


「がぁああああああっっ!!」


 左肩に直撃っ!

 ごっそりと持っていかれるHP。


 さすがに、異次元砲一発で瀕死になったりしないが、

 最大HPの二割ほどは持っていかれた。


「……ぐぅ……」


「ほーら、だから言ったのにぃ」


 やれやれと言った顔で、


「俺の切り札ゲンナイトが、タンクと支援しか出来ないと、いつから錯覚していた?」


 と、全力で煽っていく。


 アモンは、イラっとしつつも、


 『二発目を撃とう』と『魔力を溜めだしたゲンナイト』を、

 全力で睨みつけ、


「鬱陶しいんだよ、死んでろぉお!!」


 アイテムボックスから、

 投擲(とうてき)用の短剣を取り出すと、

 ゲンナイトの眉間めがけて、思いっきり投げつける!


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