63話 ゲンたちの闘いはこれからだ!

 63話 ゲンたちの闘いはこれからだ!


「当たり前のように別次元の強さを誇っているけど……召喚条件がフザけてんなぁ……召喚できるかどうかは気分次第とか、ナメすぎだろ……」


 そうつぶやきつつ、

 ゲンは、ためしに、


「セイバーリッチ・プチ、召喚」


 と、召喚しようとしてみたが、

 ウンともスンとも。


「……予想どおり、自由に召喚はできません、と」


 ぽりぽりと頭をかきつつ、


「……『一生、気分がのりません』……みたいな感じだったら、終わりだな。貴重なマスターカードをドブに捨てたことになっちまう……」


 はぁ、ため息をついて、


「仮に召喚できたとしても、こいつは、俺が戦ったヤツと同じ強さなのかな……RPGなんかでは『敵だと強いけど、味方になるとショボくなるヤツ』が多いからなぁ……一応、ステータスは高いっぽいけど……その辺も、召喚できないから、確認しようがない……と。うーむ……」


 ぶつぶつとそう言いつつ、


「まあ、もしもの時の切り札みたいな感じで認識しておくか……仮に、さっき戦ったやつよりだいぶ弱い状態でラムドカード化されていたとしても、これだけステータスが高いんだから、召喚さえできれば、ある程度の運用はできるだろう……いろいろあやふやだが……まあ、しゃぁねぇ」


 そう結論づけると、

 ゲンは、セイバーリッチ・プチのラムドカードを、

 アイテムボックスにしまいこみ、


「さて……ここからどうするかな……」


 時間を確認すると、

 まだ今日に投資することは可能な範囲内だった。


「時間はある……そして、なぜか、体力的にも、問題ない……」


 気絶から目覚めた直後は、頭が朦朧としていたが、

 しっかりと目が覚めてくると、

 驚くほど、体が軽いことに気づいて少し驚く。


「あんだけ、大変な戦闘の直後だってのに、気力は十分……どうなってんだ、俺の体は……海馬だけではなく、視床下部もバグってんのか? やべぇな、俺……」


 さすがのゲンでも、あれだけの超高次戦闘の直後ともなれば、

 気力・体力・精神力、すべてが消耗しきっていてもおかしくない。


 が、驚くほど元気一杯だった。

 むしろ、やる気が体の奥から湧き上がってくる。


 まるで、濃度の高いコーヒーをジョッキで一気飲みしたかのごとく、

 血肉がヒリつき、目がバキバキになっている。


 ジワっとした高揚感や、あるいは焦燥感と呼んでもいいほど、

 充実した『高次のやる気』に満ちている。


「まだいける……もっといける……」


 答えは出た。


 ゲンは歩を進める。

 次のフロアに進む。


 前に進む。

 まるで、止まったら死んでしまう魚のように、

 前へ、前へと、イタズラに進み続ける。



「……レーザーファルコンか……」



 次のフロアに出てきたのは、

 自然種の高位モンスター『レーザーファルコン』。


「……ちょうど、そろそろ空でも飛んでみたいと思っていたところだ……」


 そう言いながら、

 ゲンは、


「――パーフェクト・ラージャン・エグゾギア・プチ、起動」


 切り札を投入する。

 セイバーと違い、こっちは問題なく発動。


 闘いの螺旋は終わらない。

 ゲンたちの闘いはこれからだ!


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