18話 とまるんじゃねぇぞ。

 18話 とまるんじゃねぇぞ。


「さて、それでは地獄の『覇鬼狩り9連』といこうか……ワンダーナイト、召喚、ラムドオーガ、召喚」


 ゲンの闘いが始まる。

 一体倒すだけでも相当な体力と精神力を必要とした闘いを、

 ここから9連続で行うという地獄。


「行くぞ、おらぁあああああああっっ!」


 二回目は、初見と違い、

 立ち回りがわかっているし、

 ワンダーナイトと、ラムドオーガも、多少はレベルが上がっていたので、

 かなりの短時間で倒すことが出来た。


 とはいえ、15分以上はかかった。


 この時点で、すでに、ワンダーナイト9体と、覇鬼2体と戦っていて、

 体力的にも精神的にも、だいぶ擦り減っている。


 普通の人間であれば、ここらが潮時。

 いったん、家に帰って休息をはかるところだが、

 しかし、ゲンは、


「さあ、次、行こうか……」


 奥歯をかみしめながらそう言って、

 前のフロアに戻り、そして、また戻ってくる。


 再々登場した3体目の覇鬼に対し、


「今日は、このまま10体目までいくからな……覚悟しろよ」


 そう『自分』に対して宣言し、


「ワンダーナイト、召喚! ラムドオーガ、召喚!!」


 モンスターを召喚した。


「いくぞ、てめぇら! とまるんじゃねぇぞおおぉおお!!」


 ゲンの気力を振り絞る闘いが始まる。




 ★




 ――1時間後、

 なんとか、五体目を倒したゲン。


「はぁ……はぁ……きっつ……」


 ワンダーナイトのレベルは12、ラムドオーガのレベルは15となった。


「合体させるか……させないか……」


 少し悩んだが、

 結局、ゲンは、


(合体させたらRCL(ラムドカードレベル)が1に戻っちまう……それに、今のフォーメーションを崩したくない……)


 『一時的なレベルの低下』と『手数が減る』のを嫌い、

 ゆえに、


「続行だ……さあ、行くぞ。まだ終わらねぇ」


 合体させることなく、そのまま戦い続けることを選択した。




 ――そして、さらに1時間、闘いは続く。

 のんびりとした1時間ではなく、

 命をむき出しにした1時間。


 相対性理論の証明。

 時間がすさまじく長く感じた。

 永遠を想わせる『1分1秒』を積み重ねた一時間。


 その果てに、ゲンは、


「……しゃぁ……覇鬼のラムドカード……ゲットォ……」


 覇鬼10体の撃破達成。



 000000000000000000000000000000000000000


 『覇鬼』


 《RCL》    【1】


 [HP]     【1900/1900】

 [MP]     【0/0】


 「攻撃力」    【120】

 「魔法攻撃力」  【0】

 「防御力」    【80】

 「魔法防御力」  【90】

 「敏捷性」    【59】

 「耐性値」    【100】


 スペシャル「物理攻撃があまり効かない」

      「魔法攻撃があまり効かない」

      「状態異常になりにくい」

      「常時、HPが中回復」


 111111111111111111111111111111111111111




「よし、さすがに、かなり強い。めっちゃ優秀なタンク兼アタッカー」


 ニィと口角をあげるゲン。

 この覇鬼をためしてみたいという気持ちもあったが、


「……さすがに、今日はもう戦えないな……」


 賢明な判断をすると、

 そのまま、チョコネコのもっと不思議な館の外に出た。


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