病的な、合理の追及。

 病的な、合理の追及。


「聖典における主の表現が『過剰に美化されていたもの』だとしても『主が絶望を乗り越えて世界を救ってくださった』という結果に嘘はない! ゼノリカという高潔な概念の器になってくださった主に、なぜ、ほんのわずかな敬意すら抱けない! 理解ができん!!」


「ある意味で、完璧主義者の潔癖症だからさ。俺の中の『渇いてしまったカラッポの器』が、病的なほど『合理の底』を求めている。きっと、不完全だからこそ『潔癖という穢れ』に染まってしまうんだ。世の理不尽ってのは、いつだって、概念を矛盾させる」


 カドヒトは、ここではない『どこか遠く』を見ながら、


「……きわめてみっともない話だが、『許せない』って想いには逆らえねぇ。自分でもいつも思うぜ。『なぜ、そこまで?』という疑問。そんな俺自身の疑問に対し、俺は、いつだって『俺が教えてほしい』という『バカ丸出しの慟哭』で濁してきた。そうやって『言葉にできない無様』を重ねながら、俺は、今日にたどり着いた。だから、いまさら覆すことはできねぇ。俺は俺をやめることができない。どこまでも頑固で潔癖で頭が悪い変態であり続ける」


 最後に、ボソっと、『……裸の王様にはなりたくねぇ』と、この世の誰にも聞こえない小さな声で、そうつけくわえたカドヒト。


 精神的な潔癖。

 ある意味で、

 病的な自己愛。


 カドヒトの言葉を最後まで聞いていたバンプティは、

 カドヒトの言葉を受け止め、咀嚼して、

 その結果、



「……これほど意味がないと感じた会話は、はじめてじゃよ」



「そうか。人生経験がたりないな。俺は山ほど経験があるぜ。へっへー、俺の方が上ぇ! お前、俺の下ぁ!」


 絶望的にダサいマウントの取り方をしてくるカドヒトに、

 バンプティは、


「……」


 心底から不快そうな顔をして、


「……どうやら、貴様に説得など無駄らしい。貴様は……完全に壊れている。どうあがいても、ゼノリカを支える柱にはなりえない」


「当たり前の話だ。俺に、支配者の役割など出来るわけがない。これまでは、他に誰も出来るやつがいなかったから、しかたなく、騙し騙しやってきただけ。今は、適任者がいる。『あいつ(シューリ)』は俺と違い、本物の天才。だから、マジで俺は必要ない」


「……なんの話をしている? 騙し騙しやってきた? なにをだ? ……言葉の前後が支離滅裂すぎて、何を言っているのかさっぱり理解できん」


「心配するな。俺もそうだよ。俺の現状は常にバグっていて、理解などとうていできそうにない。当人の俺が、俺に対して、常時『こいつ、何言ってんだ? 頭おかしいんじゃね?』と思っているんだから、他人が理解することは不可能。俺は――」



 ――と、

 その時だった。


 平行線極まり会話をぶった切るかのように、


 ――ビギィッッ!



 と、なにかが裂けるような音がして、

 気づいた時には、

 カドヒトの視線の先で、

 大きな亀裂のようなものが出来ていた。


「……ぉいおい、なんか、あそこ裂けてんだけど……バンプティ、お前、何をした? 『とっておきの必殺技』的なやつか?」


「わ、私は何もしておらん……ぬしがやったのではないのか?」




【後書き】

センのイラストですが、

一応、書けました。

動きのあるキレイな絵はかけないので、

恒例の、鉛筆書きの立ち絵です。


もうちょっと仕上げをしてから、投稿する予定です。


本当は、センの誕生日(7月5日)に投稿しようかと思っていたのですが、

7月の忙しがハンパなさそうなので、

早めの誕生日祝いみたいな感じでw


ちなみに、

イベントはしないと言ったな、

あれは嘘だ。


……まあ、今回だけは特別って感じでw

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