難易度がハンパじゃない試験。
難易度がハンパじゃない試験。
「別に『特別仲間意識が強い』ってわけじゃないらしいが『ハンパな敵』をつくらないために、仇なす者は徹底的に殺すってのがゴキの主義らしい。ちなみに、ザコーを殺しても、ゴキがなくなるわけじゃなく、サブリーダーの『ブラツクーロ』があとを引き継ぐだけ――」
ウィーの話を聞いたルースは、
手を顎にあてて、
「もし、仮にザコーを倒してしまった場合、その後、ずっと、億超えの超人異常犯罪者たちから殺されるまで狙われ続けるってことか」
「そういうこと」
ルースは、渋い顔で頭をかきながら、
「ゴキのメンバーっていったら、基本10人前後と少数精鋭だけど、全員が、えげつないくらいの達人だって話……それを考えたら、一人5億以下は、ちょっと安すぎるな」
「ああ、ぶっちゃけ、一人10億でもやすい。せめて一人50億、全員ころせたら1000億くらいのボーナスをもらわないと割にあわない」
的確な相場を口にしつつ、
ウィー&ルースの二人は、
ザコーの警戒網に触れないよう注意しつつ、
その場をゆっくりと離れていく。
もちろん、ザコーは二人の存在に気づいているが、
ザコーはプライドが高いので(ヤマトほどではないが)、
アホのチンピラみたいに絡みにいったりはしない。
ザコーは『弱者相手にカツアゲして小銭を稼ぐタイプ』の小悪党ではなく、
『カツアゲしているクズをボコボコにして資産も臓器も全て奪いとっていくタイプ』の頭おかしい大悪党。
ある程度距離をとったところで、
ウィーが、
「つぅか、ゴキのリーダーともあろう『反社のインフルエンサー様』が、なんで、学園の試験なんか受けにきたんだよ」
ボソっと、そんなことを口にすると、
ルースがフラットな顔で、
「俺が知っていたら、逆に怖いだろ。俺、ナニモンだよ」
「ま、そうだな」
「どうしても知りたいなら聞いてくればいい。話しかけた瞬間、殺される気しかしないけど」
「……やめとくわ」
話しかけただけで殺されるようなことはないが、
イメージ的に、ゴキは『だいぶやばい』ので、
基本的には、誰も近づかない。
『全宮学園Sクラスを目指す者』や『超高位のバウンティハンター』ですら、
見つけたら尻尾をまいて逃げ出す狂気的な悪。
それがスーパーカリスマアウトサイダーズ『ゴキ』である。
★
今回、Sクラスを受けにきた受験生たちの平均存在値は『120』前後。
全宮学園Sクラスという最高学府中の最高学府の試験に臨もうとする者ばかりなので、当然、弱者など一人もいない(ゲン・フォースが圧倒的に最弱。アギトとの闘いを経て多少強くはなったが、それでも、存在値的には70~80でしかない。すでに五歳児の平均は大幅に超えているが、まだまだ『一般人の五歳児にしては強い』という程度でしかない)。
Sクラスを受けにきた受験生は、ぶっちゃけ、全員が、勇者ハルス級の力を持っている。
――のだが、しかし、その大半が地下2階に進めずに停滞していた。
すでに試験開始から10分以上経過しているが、
まだ誰も二階へと進む階段を発見できずにいる。
凶悪なモンスターに道を阻まれ、
トラップの発見・解除に手間取り、
いりくんだ迷路に悩み焦り、右往左往。
この状況を理解したヤマトは思った。
「あ、これ、別に、他の受験生の足を引っ張らなくて、私たち以外は受からないパターンのやつだねぇ」
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