人生の計算式。
人生の計算式。
「よっしゃぁ……初経験値、ゲット!」
初めての経験値獲得に対し、感慨にふけっていると、
スマホから、また、
ペイッっと、スライムが飛び出してきた。
「……ああ、そっか。起動をオフらないと、無限に出てくる感じのアレだっけ、確か」
そうつぶやきつつ、
スマホを操作し、20ミリオンシステムをオフってから、
ゲンは胸の前で両手を合わせ、
さきほどと同じく、自分を導いてくれた『なんやかんや』に感謝をしつつ、
「ゲン・ワンダフォオオオッ!」
拳を突き出すと、
同じく、スライムがパァンと弾けて消えた。
人生二度目の経験値取得。
「しかし……『スライムが無限に出てくる』って裏技なのに、なんで、名称は20ミリオンなんだ?」
軽く疑問に思ったものの、
「まあ、いいか。そんなこと、どうでも」
大したことではなかったので、
すぐに、サラっと流して、
「それよりも……『感謝の正拳突きでスライムを二匹倒したことによる努力ポイント』は、どのぐらいかなぁ……っと」
ワクワクしながら努力ポイントを確認してみると、
『努力ポイント:30』
「んー……なるほど……そういう感じね……はいはい、なるほど……」
即座に頭の中で計算していくゲン。
「……一回につき15ぐらいって感じか……感謝してからスライムを倒すという一連の流れ……スムーズにいけば、一回につき5~10秒ぐらいってところ……一分10回で計算すると、一時間に600回……9000努力ポイント。一日に10時間やるとして、9万努力ポイント……十日で90万……年だと3000万ってところ……15億ポイントを稼ぐには……50年か……」
この『クソ単調極まりない単純作業』を毎日10時間……それを50年続ければ、どうにか不老不死を獲得することができる。
その事実を認識した結果、
ゲンは、
(まあ……うん……安いかな)
ガチで普通にそう思った。
(時の為政者が、最終的に望むのは不老不死……財産も時間も全て使って、必死に探し求めて……けど、結局、誰も手に入れられなかったのが不老不死……そう考えたら、一日十時間の単純作業を50年続けるだけで不老不死を得られるっていうのは安いな……)
と、考えてから、
ゲンは、『リアル』な計算を開始する。
(まあ、ただ、一日10時間は正直、リアルじゃないんだよなぁ……俺がすでに不老不死で、飲まず食わずでもやっていけるなら可能なんだけど、残念ながらそうじゃない)
ゲンの家は、それなりに裕福な方ではあるが、
働かなくても一生遊んでいられるほど金があるわけではない。
(学校に行って、訓練所にいって、仕事をはじめて……もろもろの『生きるための時間』を念頭にいれると……睡眠時間を削りに削ったとしても……おそらく、70~80年はかかる。晩年は、体力や集中力の低下で一日に稼げるポイント数も減ってくるだろうし……いや、それだけじゃなく、途中で病気になる可能性や、単純な寿命が80前につきるパターンもありうる……)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます