虹気

虹気


 止まらない連携。

 終わらない猛攻。


 ゼノリカの天上、九華十傑。

 生まれもった『圧倒的な才覚』に溺れることなく、

 真摯に愚直に、狂気的な鍛錬を積み重ねてきた異常集団。

 輝くような命の結晶、

 ソレをまざまざと見せつけられるシアエガ。


「なんだ、きさまら……どういうことだ! なぜ、こんな!」


 圧倒されて、大きなスキをさらしてしまうシアエガ。

 そんなガラクタに、

 ジャミが、


「――異次元砲ぉお!!」


 強大な一撃を叩き込む。

 挨拶の牽制ではなく、魔力とオーラをガン積みした、

 渾身の異次元砲。



「ぶほぉおおおお!」



 ――コスモゾーン・レリック『シアエガ』を装備しているバロールは、

 すさまじい存在値に上昇しており、

 その値は、なんと、『900クラス』にも達している。


 数値の上では、九華を圧倒している。

 凶悪なパワーアップ。


 だが、


「く、くそがぁあ! し、信じられん! ありえない! どういうことだ! 本当に、この場にいる全員がバロール級だというのか! いや、それどころか、『貴様(ジャミ)』にいたっては、バロールを大幅にこえている!!」


 その評価を受けたジャミは、

 涼やかな顔で、


「私とバロールの間に『そこまで大きな差』があるとは思っていない……が、100回戦って99回以上は勝てる自信ならある」


 言いながら、シアエガ(バロール)の腕を斬り飛ばし、


「ちなみに、今の貴様となら『100回やって100回とも楽勝』だと断言できる。おそらく、実数値では貴様の方が上だろうが、しかし、そんな『空っぽの数字』に圧倒されるほど、私は脆くない。――こんな『迂遠な言い方』では理解できないか? ならば、もっとハッキリと言ってやろう。貴様は弱い」


 戦闘力が低いというだけの話ではない。

 これは、もっと『奥』の話。



「ぐっ……ぅぅ、うぁああ! ナメるなよ、カスどもぉおおおお!」



 ブチ切れたシアエガは、

 そこで、奥歯をかみしめて、


「悪いが、バロール、無茶を通すぞぉおおお! 耐えられないだろうが、完全には壊れてくれるなよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 そう叫んでから、

 グっと天を仰ぐと。



「星典黒猿(せいてんこくえん)!!!」



 宣言した直後、

 シアエガ(バロール)の肉体がグググっと隆起していく。

 ブナッティ・バロールの切り札。

 全能力が大幅にスペックアップする時限強化の変身技。


 『バロールの肉体』を大幅に強化してから、

 シアエガは、『バロールの肉体』の『奥』へ、

 グっと『己』を浸透させて、


「せめて、一分は耐えろよぉおおお! バロール、頼むからぁあああ!」


 直後、






「――『虹気(こうき)』――!!」






 シアエガ(バロール)の全身が、虹色のオーラに包まれる。

 『低次生命』の身では耐えられない、あまりにも特異性が強すぎるオーラ。

 『コアオーラを加速させる輝き』という、きわめて異質なオーラ。



 『虹色の闘気を纏う二本足の禍々しい野獣』に変貌したシアエガ(バロール)は、


「お、ぉおお……」


 想像以上に膨れ上がった自分に驚き、

 そして、


「な、なんだ……この安定した波動……『虹気(こうき)』を完全に制御しているじゃないか……ま、まさか、バロール、貴様……『神の種』をもつのか! ふ、ふはははは! これはいい!」

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